2019 Fiscal Year Research-status Report
リンパ管構成細胞の炎症応答能の獲得:炎症時のフェノタイプ変化
Project/Area Number |
19K07336
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
尾崎 博 岡山理科大学, 獣医学部, 教授 (30134505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 理介 岡山理科大学, 獣医学部, 教授 (30273080)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | リンパ管 / 平滑筋細胞 / 内皮細胞 / 炎症反応 / 一酸化窒素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、リンパ管を構築する細胞(内皮細胞、平滑筋細胞)が、炎症時にどの様に変化するかを明らかにすることを目的としている。申請者は、これまで一貫して間葉系細胞(線維芽細胞、平滑筋細胞など)の炎症応答に関する研究に従事してきたが、これまで得られた知見を基に、間質構成要素としてリンパ系に着目し、研究を進める。研究は以下の4項目:(1)リンパ管平滑筋/内皮細胞の生理機能変化、(2)病態モデルを用いたリンパ管構成細胞の炎症時における形態・機能変化、(3)リンパ管構成細胞の炎症性サイトカインに対する応答、(4)リンパ管構成細胞が炎症性物質の産生能を有する可能性、で構成されるが、昨年度は(1)と(2)の項目について研究を進めた。 結果、以下のことが明らかとなった。 a.平滑筋の収縮性変化: SHRの胸管において、WKYと比べセロトニンによる収縮反応が強く増強されていた。同様に、エンドセリン-1による収縮反応も有意に増強した。一方、KClによる収縮反応に差はなかった。Rhoキナーゼ阻害薬fasudilの前処置により、SHRにおける5-HTおよびET-1の収縮反応を完全に阻害された。b.内皮細胞のNO産生能の変化:AChによる内皮依存性の弛緩反応は、WKYに比べ、SHRにおいて減弱していた。抗酸化薬tempolならびにNADPHオキシダーゼ阻害薬VAS-2870の前処置により、SHRのACh弛緩反応が一部回復した。 以上の成績から、高血圧症において、集合リンパ管の平滑筋の収縮性の亢進と、内皮細胞の平滑筋弛緩機能の低下が明らかとなった。この反応の一部には、酸化ストレスが関与することも明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4つの研究項目のなかで、基盤となる平滑筋と内皮細胞の機能変化について明らかにすることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでのところ、計画通り進行しているが、今年度をめどに論文としてまとめたい。
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Causes of Carryover |
次年度以降に、各種機能タンパク質の酵素活性を測定する計画であり、相当分の経費を次年度に使用したい。
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Research Products
(3 results)