2020 Fiscal Year Research-status Report
腸炎症に起因した脳ペリサイト異常化が駆動する脳内αシヌクレインの凝集・蓄積亢進
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19K07338
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
道具 伸也 福岡大学, 薬学部, 教授 (60399186)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 芙友子 福岡大学, 薬学部, 准教授 (70412575)
松本 純一 福岡大学, 薬学部, 助教 (10550064)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 脳ペリサイト / αシヌクレイン / Toll様受容体 / 炎症性メディエーター / パーキンソン病 / 血液脳関門 / P糖タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、パーキンソン病の危険因子としての炎症性腸疾患に着目し、「腸炎症に起因する脳ペリサイトの機能異常が病態原因物質であるαシヌクレインの脳内蓄積を惹き起こす」と考え、脳ペリサイトの異常化に関わる責任分子・機序を明らかにし、末梢および脳を標的とした治療法の開発を目的とする。本年度は昨年度に引き続き、脳ペリサイトの機能異常を評価する指標を確立するため、線維化αシヌクレインに暴露された脳ペリサイトの機能変化(異常化)を(1)炎症性メディエーター産生および(2)脳ペリサイトに発現するマーカータンパク質の観点から検討した。さらに(3)腸炎症がパーキンソン病のリスクファクターになるため、潰瘍性大腸炎モデルマウスにおけるパーキンソン病様症状を検討した。 (1)パーキンソン病患者脳で広範囲に認められるレビー小体の主要構成成分の線維化αシヌクレインに応答して、脳ペリサイトは炎症性メディエーター(IL-1β、IL-6、MCP-1、MMP-9、TNF-α)を産生した。これはToll様受容体(TLR)阻害薬TAK-242で阻害されたことから、線維化αシヌクレインがTLR4を介して脳ペリサイトの炎症性メディエーター産生を惹き起こすことが示唆された。 (2)上記炎症性メディエーターを産生する脳ペリサイトにおいて、脳ペリサイトのマーカータンパク質のmRNA発現量変動を検討したところ、Desmin、Kcnj8およびP-gpの発現量が増大した。これらの発現量増加はTAK-242存在下で抑制された。したがって、これらは線維化αシヌクレインに応答して炎症性メディエーターを産生する「異常化脳ペリサイト」を同定するマーカーとなり得る。 (3)デキストラン硫酸(DSS)飲水による潰瘍性大腸炎モデルマウスにおいて運動障害などのパーキンソン病様症状は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
線維化αシヌクレインによる脳ペリサイトの機能異常の表現型として、炎症性メディエーター産生およびその標的受容体としてTLRを明らかにできた。TLR阻害を標的とした脳ペリサイトの異常化制御が可能になると考える。また、その際の異常化脳ペリサイトを同定する指標として、脳ペリサイトマーカータンパク質のmRNA発現量変動パターンのプロファイリングができた。今後、潰瘍性大腸炎モデルマウスにおける「異常化脳ペリサイト」の同定に繋がることが期待できる。以上、炎症性腸疾患における異常化脳ペリサイトの存在を明らかにするためのマーカータンパク質およびその異常化を制御する薬物の作用標的を提示できた点は順調に進展していると言えるものの、モデルマウスを用いた評価およびサンプルの解析については当初計画よりも遅延しており、全体としてやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
DSS飲水負荷による潰瘍性大腸炎モデルマウスを作成し、腸炎症が脳および腸管αシヌクレイン発現量およびαシヌクレイン分解酵素発現量におよぼす影響の検討を進める。また、潰瘍性大腸炎モデルにおいて、血液中および脳内での発現量が変動する炎症性サイトカインを同定する。αシヌクレイントランスジェニック動物を用いて同様に検討し、腸炎症がαシヌクレイン発現量の増加およびパーキンソン病様症状の増悪を惹き起こすかを検討する。 また、脳内αシヌクレイン増加による「脳ペリサイトの異常化」を抑制する薬剤を探索するためP-gpに着目し、in vitroにおいて脳ペリサイトのP-gp発現量増加が炎症性メディエーター産生に機能的に関与するかをP-gpノックダウン脳ペリサイトおよびP-gp阻害剤を用いて明らかにする。 潰瘍性大腸炎モデルマウスにおいて、脳内および血液中で発現量が増大する炎症性サイトカイン等を同定した後、候補物質による脳ペリサイトのマーカータンパク質発現量変動と、今年度明らかにした「異常化」脳ペリサイトのマーカータンパク質発現プロファイルを比較し、脳ペリサイト異常化の誘因物質であるかを明らかにする。
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Causes of Carryover |
参加予定の学会がリモート開催となり使用予定の旅費の支出がなくなったため。残額は次年度の物品費に充当する。
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Research Products
(1 results)