2020 Fiscal Year Research-status Report
食道癌におけるトランスフェリン受容体の機能解明と分子標的薬の探索
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19K07339
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Research Institution | Junshin Gakuen University |
Principal Investigator |
山本 裕之 純真学園大学, 医療工学科, 准教授 (10466295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳沼 裕二 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 教授 (90250571)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | トランスフェリン受容体 / 遺伝子発現量 / 食道癌 / 分子標的治療薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、食道癌におけるトランスフェリン受容体の機能解明および分子標的治療薬の探索であり、本研究計画で明らかにする点は大きく以下の2つである。①TFRC遺伝子によってコードされるトランスフェリン受容体(TFR)の分子・細胞レベルの機能解析、②TFRを標的とする治療薬の探索である。①はさらに3つの解析、A)TFRの細胞・組織発現解析、B)培養細胞におけるTFR発現量変化に伴う細胞増殖への影響を解析、C)TFRによって制御される下流分子の同定およびシグナル伝達解析から成り立っており、A)は昨年度に解析を終了している。当該年度は解析B)およびC)の実施に向けた取り組みを行った。具体的には、一連の食道扁平上皮癌培養細胞株において、安定したトランスフェリン受容体発現抑制株の作成を行うためのsiRNA発現用プラスミドベクターの構築を行い、現在、siRNA安定発現細胞株の樹立を行っている。②に関しても以下の3つの解析、A)TFR結合化合物のスクリーニング、B)TFR結合化合物の同定、C)TFR結合化合物のTFR抑制効果の検証から成り立っている。当該年度ではA)に関して、共同研究機関による zinc natural compound (NCP) and FDA approved drug データベースを用いたコンピュータースクリーニングにより、トランスフェリン結合領域と強く結合する候補化合物あるいは候補薬物を見出すことに成功している。これらの化合物あるいは薬物は、TFRの機能抑制のための分子標的治療薬になり得る可能性があるが、今後の更なる解析が必要となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当該年度は、研究計画内容自体には大きな乱れは生じていないものの、昨年度に引き続き、当教育研究機関における新型コロナウイルス感染対策に膨大な時間と労力を費やす必要があったため、研究実施計画の大幅な乱れに伴う進捗状況の遅延が生じている。 本研究計画で明らかにする点は大きく以下の2つである。①TFRC遺伝子によってコードされるトランスフェリン受容体(TFR)の分子・細胞レベルの機能解析、②TFRを標的とする治療薬の探索である。①はさらに3つの解析、A)TFRの細胞・組織発現解析、B)培養細胞におけるTFR発現量変化に伴う細胞増殖への影響を解析、C)TFRによって制御される下流分子の同定およびシグナル伝達解析から成り立っており、解析A)はすでに完了し、現在は解析B)を実施中である。②も3つの解析、A)TFR結合化合物のスクリーニング、B)TFR結合化合物の同定、C)TFR結合化合物のTFR抑制効果の検証から成り立っているが、現在までに解析A)は完了している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに大幅な研究実施計画の進行に遅れはあるものの、研究実施計画の内容自体には大幅な計画の変更はないものと考えている。しかしながら、現時点でも新型コロナ感染拡大状況にあるため、研究計画実施のための十分な時間と労力を確保に関しては保証できない状況ではあるが、次年度は当該研究計画の最終年度にあたるため、可能な限り予定された研究計画の実施に努める。具体的には、食道扁平上皮癌細胞におけるTFR発現抑制に伴う細胞増殖への影響およびTFRが制御する細胞内シグナル伝達経路の同定に向けた解析を予定しており、これらの解析により、食道扁平上皮癌の発生・増殖における新たな役割が明らかになるものと考える。また、TFRをターゲットとした効果的な分子標的治療薬の探索に関しても、現在までに得られた候補化合物・薬物を用いて、in vitro条件下でのTFR結合化合物の同定に加え、同定されたTFR結合化合物のTFR機能抑制および癌細胞増殖抑制効果の検証を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は新型コロナウイルス感染拡大のために、当初予定していた研究実施計画に大幅な乱れが生じた。これにより、本来購入予定の物品等の購入には至らないものもあり、次年度使用額が生じた。次年度では、この次年度使用額と次年度助成金の使用により、以下の解析を予定している。 ①食道扁平上皮癌細胞におけるTFR発現抑制に伴う細胞増殖への影響およびTFRが制御する細胞内シグナル伝達経路の同定に向けた解析 ②TFRをターゲットとした効果的な分子標的治療薬の探索に向け、候補化合物からのin vitro条件下でのTFR結合化合物の同定および同定されたTFR結合化合物のTFR機能抑制・癌細胞増殖抑制効果の検証
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Research Products
(1 results)