2021 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノムワイドな挿入変異を利用した疾患関連lncRNAの機能解析
Project/Area Number |
19K07346
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
鈴木 健之 金沢大学, がん進展制御研究所, 教授 (30262075)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | がん遺伝子 / エピジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
転移や治療抵抗性に代表される「がんの悪性進展」を制御することは, がんの克服にとって重要な課題である。ウイルス感染発がんモデルマウスを用いて挿入変異の標的として同定したエピジェネティック制御因子(ヒストンの翻訳後修飾を制御する酵素、長鎖非コードRNA(lncRNA)など)について、がん悪性進展との関係性を解析し、複数の新しい知見を得ることができた。がん転移の第一段階として重要ながん細胞の上皮間葉転換(EMT)の可逆的性質を担う分子基盤として、PRC2ヒストンメチル化修飾酵素複合体、そのガイド役としてのMEG3/MEG8 lncRNA、その協調因子としてのPRC1ヒストンユビキチン化酵素複合体の機能と作用メカニズムを明らかにした。さらに、mRNAやlncRNAのA塩基のm6Aメチル化修飾を担うMETTL3酵素が、EMT関連転写制御因子のmRNA制御を介して、EMT進行に必須な役割を果たすことを発見した。現在、これらエピゲノム制御とエピトランスクリプトーム制御に注目して、がん悪性進展の阻害戦略の構築を試みている。また、肺がん細胞の分子標的薬オシメルチニブに対する耐性獲得に関して、薬剤によるIGF-1Rの発現上昇と活性化の重要性を見いだし、このIGF-1Rの発現上昇を誘導するのが、オープンクロマチン構造形成を担うパイオニア転写因子FOXA1であることを発見した。FOXA1の発現阻害が薬剤耐性細胞の出現を著しく抑制することから、薬剤耐性克服のための有望な治療標的としてFOXA1に焦点を当てて、その阻害化合物の探索をスタートした。
|
Research Products
(10 results)