2023 Fiscal Year Annual Research Report
アストロサイトを起点とした多発性硬化症の分子レベルでの病態解明
Project/Area Number |
19K07366
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
伊藤 教道 大分大学, 医学部, 客員研究員 (30726310)
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Project Period (FY) |
2021-01-01 – 2024-03-31
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Keywords | IFITM3 / アストロサイト / 脱髄 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではMultiple Sclerosis(MS)におけるifitm3の関与・役割を明らかにするために炎症モデルであるクプリゾンモデルを用いて生化学的・神経化学的解析を 行った。野生型マウスに通常餌またはクプリゾンを含む餌を6週間投与したところ、クプリゾン投与群では対照群に比較してMBPの発現が低下しており、クプリゾ ン投与による脱髄反応が生じていることを確認した。また、クプリゾン投与によるGFAPの発現上昇が認められ、炎症反応によるアストロサイトの活性化が確認で きた。この条件下において、皮質領域および脳梁においてクプリゾン投与群ではifitm3の優位な発現上昇が認められた。次にクプリゾン投与によるifitm3の継時的な発現変化を検討したところ、クプリゾン投与初期においてifitm3の発現上昇が認められ、一方クプリゾン投与終了後においてはifitm3の発現は対照群と同等まで減少した。以上よりifitm3は脱髄反応に先立つ炎症反応により発現誘導されることが明らかになった。また、炎症反応の収束と共に発現量の減少が認めら れ、脳内炎症反応を示すマーカーの役割を果たしている可能性が考えられた。 これらの結果を基にifitm3の発現 量の変化が末梢血中に確認できるか検討した。野生型マウスに普通餌またはクプリゾンを含む餌を6週間投与した後、末梢血から血清を調製し、ifitm3を検出し た。その結果、クプリゾン投与群では対照群に比較してifitm3の発現が上昇している傾向が認められた。 次にifitm3 KOマウスを用いてクプリゾン投与実験を行い、脱髄への影響を検討した。野生型、ifitm3 KOマウス共に6週間のクプリゾン投与により皮質領域およ び脳梁のGFAPの発現上昇が認められた。一方、当該領域のMBPの発現量の低下は野生型に比べifitm3 KOマウスにおいて、低い傾向が認められた。
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