2020 Fiscal Year Research-status Report
ASPS-1によるCDC-48のデフォルト化の解析と新規線虫糖尿病モデルの確立
Project/Area Number |
19K07371
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
山中 邦俊 熊本大学, 発生医学研究所, 准教授 (90212290)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | AAAシャペロン / 寿命 / CDC-48 / PTEN |
Outline of Annual Research Achievements |
CDC-48は、極めて多岐にわたる機能に関するAAA型シャペロンである。Nドメイン結合アダプターがそれぞれに特異的な基質を認識し、C末端結合アダプターがそれらをどのように処理するかを規定している。最近、Nドメイン結合アダプターASPS-1が線虫の寿命制御に関わり、CDC-48の量の低下に伴ってASPS-1の重要性が増すというユニークな性質を見出したことにより、本研究を開始した。ASPS-1欠損株は野生株に比べて長寿命であるが、DAF-18 (PTENホモログ) 欠損を導入すると、長寿命性は完全に抑制され、DAF-18欠損株と同じ短寿命を示した。また、ASPS-1欠損株では、DAF-16 (FOXOホモログ) の核局在が極めて顕著であった。これらの結果は、CDC-48-ASPS-1がDAF-18のフォスファターゼ活性を負に調節し、インスリン経路を制御している因子であることを示唆している。 線虫は、ジアセチル、ベンズアルデヒドやイソアミルアルコールなどの誘因物質によっていく走化性を示す事が知られている。ASPS-1欠損株では、ジアセチルに対する走化性が消失することを新たに見出した。ベンズアルデヒドやイソアミルアルコールに対する走化性には変化がなかった。この結果は、ジアセチル感知に関わるシグナル伝達経路にCDC-48-ASPS-1が関与している可能性を示唆している。 GFPを融合したASPS-1を発現する線虫を構築し、抗GFP抗体で免疫沈降を行い、CDC-48は共沈することをウエスタン及びマス解析で確認した。この結果は、in vivoでCDC-48-ASPS-1複合体が形成されていることを示している。しかしながら、ASPS-1と相互作用する新規因子は見出す事ができなかった。 GSTを融合したASPS-1を大腸菌を用いて発現・精製を行い、先に昆虫細胞を用いて精製したCDC-48に対する解体活性をin vitroで検討したが、調べた条件下では解体活性は検出できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ASPS-1の寿命制御に関する作用点がほぼ特定できた。また新たに、誘因物質に対する走化性にも関与していることも見出し、研究の広がりも確認できる。
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Strategy for Future Research Activity |
GFPをタグとして用いたASPS-1の免疫沈降実験では、ASPS-1と相互作用する新規因子を同定できなかったので、より小さなタグを付加することを試みる。また、DAF-18はタグを付加することによりこのタグに対する抗体をDAF-18の検出に用いる事が可能になる。CRISPR/Cas9法により、FLAGタグを付加したASPS-1を発現する線虫と、MYCタグを付加したDAF-18を発現する線虫を構築した。これらの株に、これまでに関与が確認された種々の変異を導入した二重変異株、三重変異株を構築し、タグを利用した免疫沈降を行い、CDC-48-ASPS-1複合体とDAF-18やPDZドメイン含有タンパク質との有意な相互作用が観察できるかをウエスタン及びマス解析で検討する。 DAF-18は、C末端にPDZドメインと相互作用する配列を持っており、PDZドメイン含有タンパク質ARR-1との相互作用がデータベースに記載されている。ジアセチルのシグナル伝達経路にもARR-1が含まれている。これらのことから、CDC-48-ASPS-1複合体の作用機序は、ARR-1とそれに相互作用するタンパク質 (DAF-18を含む) の結合状態の制御であるとの仮説を立てるに至った。ASPS -1が寿命やジアセチルシグナル伝達において、どのようにARR -1に作用しているかを明らかにする。 ASPS-1がどのようにCDC-48に結合しているのかを、高速AFMを用いて観察する。この観察にあたっては、福岡大学の山本先生にご指導をお願いしている。
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Causes of Carryover |
特に大きな繰越額ではなく、研究も順調に進捗しており、次年度の使用計画に大きな変更はない。
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