2021 Fiscal Year Research-status Report
リンチ症候群発症機序の解明と創薬に向けたDNAミスマッチ修復蛋白質の構造機能解析
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19K07376
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Research Institution | Osaka Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
福井 健二 大阪医科薬科大学, 医学部, 助教 (00466038)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | DNAミスマッチ修復 / リンチ症候群 / PMS2 / MLH1 / MutL |
Outline of Annual Research Achievements |
DNA ミスマッチ修復系で中心的な役割を果たす MutL タンパク質の構造機能解析を引き続き行った。MutL は GHKL ATPase/kinase スーパーファミリーに分類される ATPase で、その N 末端ドメインには、GHKL スーパーファミリーに特徴的な Bergerat ATP-binding モチーフを、また、C 末端ドメインにはエンドヌクレアーゼ活性に必須の金属結合モチーフ持つ。Bergerta ATP-binding モチーフおよびその周辺に見られるリンチ症候群関連変異の影響を、二種類のヒト由来 MutL ホモログ (PMS2 および MLH1) において調べ、これらの ATPase 活性を消失させる、または、低下させる変異を同定した。これにより、それらの変異の病原性が示唆された。また、MutL ATPase 活性の触媒機構の推定が可能となった。さらに、ヒト PMS2 と MLH1 の C 末端領域のエンドヌクレアーゼドメインの調製と活性測定に成功した。ヒト PMS2 および MLH1 の活性は、PCNA によって促進される。その影響を評価するために、ヒト PCNA を新たに調整し、PCNA 存在下で PMS2/MLH1 のエンドヌクレアーゼ活性を解析した。これにより、それまで着目されてこなかったアミノ酸残基がエンドヌクレアーゼ活性に極めて重要であることを発見した。また、ヒト PMS2 および MLH1 タンパク質の全長を調製するための発現系・精製法・保存方法の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
PMS2 および MLH1 タンパク質が極めて不安定であり、保存中または活性測定中にタンパク質が変性することが分かった。これらのタンパク質の保存方法および活性測定法の検討に時間を要したため、課題の進捗に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
PMS2 および MLH1 の全長タンパク質を用いて、DNA 切断活性の測定を行う。この系により、リンチ症候群関連変異の、DNA 切断活性に及ぼす影響を迅速に調べる。これと並行し、これらのタンパク質の結晶構造解析を行い、リンチ症候群関連変異が構造に及ぼす影響を評価する。
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Causes of Carryover |
PMS2 および MLH1 タンパク質の安定性の問題から、これらのタンパク質の調製・保存・活性測定方法の確立に想定以上に時間かかったため、それらの活性測定及び結晶構造解析に関する計画を後倒しすることとなった。 PMS2 および MLH1 タンパク質の調製・活性測定法は確立できたので、今後、これらのタンパク質の活性測定と結晶構造解析を進める。そのためのエンドヌクレアーゼ活性測定用の基質DNAおよび試薬類を購入する。また、結晶構造解析のための結晶化試薬、デバイス類、X線回折実験用器具類を購入する。
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