2020 Fiscal Year Research-status Report
TGFbによるSirt1の制御と炎症性腸疾患の抑制機構の解明
Project/Area Number |
19K07377
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
天野 恭志 近畿大学, 医学部, 助教 (20549331)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 斉 近畿大学, 医学部, 教授 (20280620) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 炎症性腸疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患では、免疫応答の機能障害によって、TGFbを含む炎症性サイトカインによる持続的な線維芽細胞の活性化により “線維化”が誘導されるが、線維芽細胞において、Sirtuin遺伝子群の1つ、Sirt1が抑制されることが1つの要因として考えられる。 本研究では、炎症性腸疾患における“線維化”形成に着目し、線維化を促進する主要因子TGFbによってSirt1がどのように抑制されるのかについて解明する。そ して、Sirt1-NAD+経路を活性化するニコチンアミドモノヌクレオチドによって、線維化を抑制する遺伝子群の探索を行う。さらに、炎症性腸疾患マウスモデルに おいて、Sirt1-NAD+経路の活性化による線維化を抑制する機構について解明する。本成果は、近年、生活習慣の変化により患者数が増加している炎症性腸疾患に 対する治療標的や予防医学の発展に寄与し得ると考える。 令和2年度は、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)による炎症性腸疾患マウスモデルにおいて、ニコチンアミドモノヌクレオチドによる線維化形成の抑制機構について明らかにするために、RNAシーケンスによる網羅的な遺伝子発現解析を行った。GSEA解析やパスウェイ解析を行った結果、野生型マウスに対してDSSとニコチンアミドモノヌクレオチドを同時に投与した大腸では、炎症応答に対する分子経路やTGFb産生経路、LPAを介して活性化される分子経路などが抑制された。一方で、酸化的リン酸化経路などミトコンドリア機能に関わる分子経路が回復した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DSSによる炎症性腸疾患マウスモデルにおいて、大腸のRNAシーケンスの結果からパスウェイ解析を行い、ニコチンアミドモノヌクレオチドによって変動する複数の分子経路を同定した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、遺伝子改変マウスにおいて炎症性腸疾患を誘導し、遺伝子発現解析や組織学的な解析を行い、線維化形成を抑制する分子機構についての解析を進める。
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Causes of Carryover |
マウスの導入が年度末に差し掛かっていたため。
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