2019 Fiscal Year Research-status Report
精巣ライディッヒ細胞における胎仔期分化記憶保持の分子基盤解明
Project/Area Number |
19K07378
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
嶋 雄一 川崎医科大学, 医学部, 教授 (80425420)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ライディッヒ細胞 / 分化記憶 / エピジェネティック / エンハンサー / 転写制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
胎仔ライディッヒ細胞と成獣ライディッヒ細胞の両方でEGFPを発現するStAR-EGFPトランスジェニックマウスを用いて、胎仔精巣および成獣精巣から、ソーティングによって胎仔ライディッヒ細胞と成獣ライディッヒ細胞を分取した。まず、mRNA-sequenceによりそれぞれの遺伝子発現プロファイルを明らかにした。この結果、Hsd3b6遺伝子やHsd17b3遺伝子など、既に報告された成獣ライディッヒ細胞のみに発現する遺伝子を確認した。また、これらの遺伝子以外にも、胎仔ライディッヒ細胞と成獣ライディッヒ細胞で発現パターンが異なる遺伝子を網羅的に明らかにした。 同様にStAR-EGFPトランスジェニックから分取した胎仔ライディッヒ細胞と成獣ライディッヒ細胞を用いて、ATAC-sequence(Assay for Transposase-Accessible Chromatin Sequencing)解析の予備実験を行ったが、サンプルの調製方法に問題があると推測されたため、実験方法の改善に取り組んでいる。 Nr5a1遺伝子の胎仔ライディッヒ細胞特異的エンハンサー領域内部のCpG配列を対象としたメチル化解析を行ったところ、胎仔ライディッヒ細胞に由来する細胞(胎仔ライディッヒ細胞、脱分化した間質の未分化細胞、精細管周囲筋様細胞)全てで、低メチル化状態であることを確認した。今後サンプルを追加して解析を行う予定である。 成獣ライディッヒ細胞エンハンサーの同定を目的として、Nr5a1遺伝子の内部および周辺で、動物間で配列が保存されている領域の中から4つの領域を選択し、それぞれの領域を欠失するマウスを作成し、解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
StAR-EGFPトランスジェニックマウスの胎仔精巣および成獣精巣から、ソーティングによって胎仔ライディッヒ細胞および成獣ライディッヒ細胞をそれぞれ回収し、mRNA-sequenceによってそれぞれの遺伝子発現プロファイルを明らかにした。一方、同様に回収した細胞を用いてATAC-sequence解析を行ったところ、本来ならば発現遺伝子のプロモーター領域やエンハンサー領域に観察されるピークが、遺伝子内部や遺伝子間の領域に不規則に認められ、また繰り返し実験を行っても再現性が得られなかった。これはサンプルの調製方法に問題があったと考えられたことから、最近報告された修正版のプロトコールに従って再度サンプルの調製を進めている。 既に同定したNr5a1遺伝子の胎仔ライディッヒ細胞エンハンサーに関して、メチル化解析を行い期待通りの結果を得たが、さらにサンプルの数を増やす必要がある。一方、成獣ライディッヒ細胞エンハンサーの同定を目指してNr5a1遺伝子周辺の探索を進めているが、エンハンサーの同定には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
ATAC-sequence解析の実験条件をさらに検討、改善し、胎仔ライディッヒ細胞と成獣ライディッヒ細胞におけるクロマチン構造の差異を明らかにすることが最優先課題である。 Nr5a1遺伝子の胎仔ライディッヒ細胞エンハンサー領域のメチル化解析は順調に進行中であり、今後サンプルを追加することで解析を完了できる見込みである。成獣ライディッヒ細胞エンハンサーの同定を目的としたNr5a1遺伝子周辺領域の探索は継続して行っていくが、エンハンサーの同定のためにはATAC-sequence解析によって得られる情報が重要であるため、それぞれの解析を並行して行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
予定した解析のうち、ATAC-sequence解析に関しては予備実験の結果から実験方法の改善が必要と判断されたため、本解析には至っておらず、そのため次年度使用額として繰り越した。翌年度に実験条件を改善し、本解析を行う予定である。
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Research Products
(5 results)