2019 Fiscal Year Research-status Report
RNA結合タンパク質Mex-3Bによる腸内細菌叢の制御を介した代謝制御機構の解明
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19K07381
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山角 祐介 東京大学, 定量生命科学研究所, 特任助教 (40773768)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 腸内細菌の培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまでに、RNA結合タンパク質Mex-3Bの欠損マウスで寿命が延長し、インスリン感受性が亢進していることを見出している。さらに、Mex-3B欠損マウスの腸内細菌叢が野生型マウスと異なっており、その違いがインスリン感受性の亢進に影響を与えていることを明らかにした。本研究課題では、①インスリン感受性に影響を与える細菌の同定および②Mex-3Bによる腸内細菌叢の制御機構の解明を目的として解析を進めてきた。①に関しては、Mex-3B欠損マウスと野生型マウス間で存在比に大きな差があった菌類が主に嫌気性細菌であったため、まずは嫌気性細菌の培養法の確立を試みた。糞懸濁液を様々な条件下でプレート培養し、プレートごとにコロニー群をまとめて16S配列を読んだ結果、いくつかの条件下で偏性嫌気性菌のクロストリジウム属が検出された。この結果から、少なくとも腸内細菌叢を構成する一部の嫌気性細菌の培養に成功したと考えられる。②に関しては、野生型マウスおよびMex-3B欠損マウスから腸上皮細胞を単離してRNAを抽出し、RNA-Seqを行った。その結果、Defensinなどの抗菌ペプチド合成遺伝子の発現量がMex-3B欠損マウスで上昇していた。Mex-3Bはこれらの遺伝子の発現量を制御することで腸内細菌叢を制御している可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度の一年間で、腸内細菌叢を構成する嫌気性細菌の培養に成功した。また、Mex-3Bによる腸内細菌叢の制御に関わる可能性のある複数の遺伝子を同定することができた。本研究課題の中でも特に難易度の高いと考えられる部分を着実に解決できつつあることから、研究は順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
①インスリン感受性に影響を与える細菌の同定に関しては、令和元年度に樹立した嫌気性細菌の培養系をさらに改良し、Mex-3B欠損マウスと野生型マウス間で存在比に大きな差があった菌の単離培養を試みる。また、②Mex-3Bによる腸内細菌叢の制御機構の解明に関しては、令和元年度に同定した候補遺伝子群が実際にMex-3Bと結合するかなどの詳細な分子生物学的解析を行う。
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