2022 Fiscal Year Annual Research Report
リーリン欠失統合失調症患者モデルマウスを用いた発症メカニズムの解明
Project/Area Number |
19K07384
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森 大輔 名古屋大学, 脳とこころの研究センター(医), 特任准教授 (00381997)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 統合失調症 / Reln欠失 / 精神疾患モデルマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
RELN遺伝子欠失を有する日本人統合失調症患者を同定した。RELN遺伝子がコードするリーリンは、多くの脳領域で発現される大きな細胞外マトリックスタンパク質である。発生段階では、リーリンは主にカハール・レツィウス細胞によって分泌され、大脳皮質におけるニューロンの移動と層の形成に重要な役割を果たすことが知られており、小脳の発達にも必要である。本研究では、リーリン欠損が統合失調症の病態と関連しているかどうかを明らかにするために、ゲノム編集技術によりモデルマウスを作製し、一般行動試験および病理組織検査を行い、小脳顆粒細胞の移動に関する表現型解析を実施した。結果はホモ接合型Reln-delマウスの表現型は、小脳萎縮、大脳層の形成不全、大脳リーリンのタンパク質レベルの異常など、リーラーマウスと類似していた。ヘテロ接合型Reln-delマウスにおけるリーリンの発現量は、野生型マウスの約半分であった。逆に、小脳萎縮や形成不全のないヘテロ接合型Reln-delマウスの行動解析では、3室社会的相互作用試験における社会的新奇性の異常が認められた。また、ホモ接合型Reln-delマウスの小脳培養液では、in vitroでの再集合形成と神経細胞移動が著しく変化していた。RELNの新規エクソン欠失を有する本患者をモデルとした新規Reln-delマウスの今回の結果は、統合失調症に対するリーリンベースの治療法開発に貢献することが期待される。
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Research Products
(5 results)