2020 Fiscal Year Research-status Report
脳神経系における新規の遺伝子発現制御機構とその破綻による障害・疾患
Project/Area Number |
19K07394
|
Research Institution | Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University |
Principal Investigator |
松浦 憲 沖縄科学技術大学院大学, 細胞シグナルユニット, 研究員 (10625742)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | CCR4-NOT |
Outline of Annual Research Achievements |
真核生物の遺伝子発現制御においては、mRNAの翻訳・分解のバランス制御が恒常性維持や環境刺激依存的な変化をする上で鍵となる。CCR4-NOT(CNOT)複合体は 転写後遺伝子サイレンシングにおいて主要な役割を果たし、mRNAの分解と翻訳抑制の二つの重要な働きを持つ。また、神経細胞のRNA顆粒における転写後制御異常は、脆弱性X症候群など様々な神経・精神疾患の原因になっており、CNOT複合体の関与が疑われる。しかし、脳神経系におけるCNOT複合体の役割はほとんどわ かっていない。本研究では、これまでの我々のCNOT複合体研究の成果を踏まえ、作製したCNOT複合体 KO マウス前脳の異常な遺伝子発現上昇に着目をした。先端 的オミックス(包括的)解析を駆使する事により、神経細胞の遺伝子発現制御におけるCNOT複合体の作用機序やターゲット遺伝子、更には生理的表現型の解析に より、その破綻がもたらす障害・疾患の全体像解明を目ざしている。 当該年度の成果: 1.CNOTに対する特異的抗体とKOコントロール組織を用いた免疫沈降・質量分析解析によりCNOT複合体に脳神経細胞で生理的に結合するタンパク質および特定の CNOTサブユニット依存的に結合するタンパク質の同定した。これによりCNOTが関わる興味深い経路が示唆された。 2.CNOT前脳KOマウスの行動実験により特定の行動異常を同定した。これにより特定のCNOTサブユニットが神経細胞で重要な機能を担っていることが証明された。 3.CRISPR-Cas9システムを使用したCNOTKO神経芽細胞腫を作製し、KO脳で見られる遺伝子変動の同定・再現確認や1で示唆された経路におけるCNOTの役割解析を現在進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
個々の結果では予想と違うものや解釈が難しいもの、また技術的に難しい問題にぶつかることもあるが、全体としては概ね計画通りに進んでいるといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
いくつかの追加実験をさらに行い、得られた成果に基づき論文を作成・投稿する。
|
Causes of Carryover |
当該年度予定していた実験のいくつかは時間的に行えなかったので、翌年度に予算を持ち越す。 当該年度に予定していた、学会等の旅費を翌年度に持ち越す。
|
Research Products
(2 results)