2019 Fiscal Year Research-status Report
VCP変異による前頭側頭葉変性症における発生異常と晩発性病態の解明
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19K07397
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
藤田 慶大 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教 (40792205)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 前頭側頭葉変性症 / VCP / 神経変性疾患 / オミックス解析 / 神経幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の実績を、(1)脳構造異常の継時的解析、(2)神経幹細胞の細胞周期解析、(3)脳サイズ調節を分岐・制御する分子ネットワーク変化の抽出、の3つの主な項目に分けて報告する。 1)脳構造異常の継時的解析:大脳皮質の各layer marker(Tbr2, Sox2, Pax6(胎児脳);Cux1, Foxp1, Tbr1(成獣脳))を免疫染色したところ、VCPノックインマウスでは、胎児期(E15)および成獣期(6ヶ月齢)において、正常マウスと比べて層構造が異常であることが明らかになった。また、6ヶ月齢脳にてゴルジ染色を行ったところ、ニューロンの樹状突起の過剰分岐が見られた。 2)神経幹細胞の細胞周期解析:正常マウスおよびVCPノックインマウスより神経幹細胞を単離し、細胞増殖能および細胞周期解析を行った。VCPノックインマウスの神経幹細胞は、正常マウス神経幹細胞と比べて、細胞増殖速度が遅く、細胞周期の異常が見られた。次に、マウス胎児におけるBrdUを用いたcumulative labelingによる細胞周期解析からも、同様の結果を得た。さらに、マウス胎児脳切片におけるBrdU/Ki67染色から、神経新生も異常であることが判明した。 3)脳サイズ調節を分岐・制御する分子ネットワーク変化の抽出:胎児期から生後成育期にかけて、胎生15日齢、生後4週齢、12週齢、24週齢、48週齢のマウスから大脳皮質を摘出し、リン酸化プロテオーム解析を開始した。また、胎児から単離した神経幹細胞も、同様にリン酸化プロテオーム解析を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度の当該目標は達成しており、すでに2020年度計画の内容である、分子ネットワーク変化の抽出のための実験も進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
リン酸化プロテオーム解析から得られた網羅的情報から、脳構造・機能異常に関わる分子群(コアネットワーク)および中核分子(コア病態分子)を抽出する。
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Causes of Carryover |
実験に必須な経費として使用するため、次年度使用とした。研究計画は、当初予定通り遂行する。
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