2020 Fiscal Year Research-status Report
VCP変異による前頭側頭葉変性症における発生異常と晩発性病態の解明
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19K07397
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
藤田 慶大 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教 (40792205)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 前頭側頭葉変性症 / VCP / 神経変性疾患 / オミックス解析 / 神経幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究成果を下記の通りに報告する。 1)神経幹細胞における細胞周期異常に関わる原因分子Xの同定 変異VCP発現ノックインマウス胎児(E14)から、神経幹細胞を単離・培養し、細胞周期遅延に伴う増殖不全があることを明らかにした。この原因として、バックグラウンドマウスならびに変異VCPノックインマウスの神経幹細胞を用いてオミックス解析(リン酸化プロテオーム解析)を実施した。95%信頼度において、392種のペプチドリン酸化部位を同定し、t-testによる検定結果から、有意に変化したペプチドを94種(71タンパク質)同定した。KEGGデータベースを利用し、これらタンパク質が含まれるパスウェイ解析から、DNA複製など複数の経路に、よりリン酸化タンパク質が集中しており、細胞周期に関わるリン酸化タンパク質を複数同定することができた。この中で、特にリン酸化変化が大きかった分子Xに注目した。 2)分子Xによる細胞周期調節とリン酸化による影響の評価 分子Xのリン酸化部位をミミックする変異体ならびに非リン酸化型変異体を発現するプラスミドを作成し、バックグラウンドマウスならびに変異VCPノックインマウスの神経幹細胞にトランスフェクションし、細胞増殖ならびに細胞周期を調べた。バックグラウンドマウスにおいては、リン酸化型分子X変異体発現による細胞増殖遅延および細胞周期遅延が観察された。変異VCPノックインマウスにおいては、正常分子Xならびに非リン酸化分子X変異体発現による細胞増殖遅延ならび細胞周期遅延が改善されたが、リン酸化分子X変異体では改善されなかった。よって、分子Xリン酸化が、VCP変異ノックインマウス神経幹細胞における細胞周期遅延に関わることが示唆された。さらに、分子Xのリン酸化キナーゼを、in vitro kinationならびに質量分析から、複数同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度の当初目標を達成しており、2021年度の研究計画へ向けて準備も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初目標通り、神経幹細胞の細胞周期調節分子Xリン酸化と、前頭側頭葉変性症モデルマウスのフェノタイプ発症との因果関係を、分子Xの遺伝子治療による介入試験にて検証する。
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Causes of Carryover |
試薬の納期遅延によるキャンセルから、差額が発生した。次年度の経費での購入に切り替え、経費に供出する。
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