2021 Fiscal Year Annual Research Report
VCP変異による前頭側頭葉変性症における発生異常と晩発性病態の解明
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19K07397
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
藤田 慶大 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 講師 (40792205)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 前頭側頭葉変性症 / 神経変性疾患 / VCP / DNA損傷ストレス / 神経幹細胞 / ネクローシス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、前頭側頭葉変性症を呈する異なる原因遺伝子のモデルマウス(KIマウス)を、新規開発の3種類を含めて、トータルで4種類用いることによって、その胎児期から成体(大人のマウス)に至る経過を詳細に調べた。特に、プロテオーム解析法を用いて、胎児期の脳組織中のタンパク質変化を網羅的に調べた。そして、検出されたタンパク質変化が出生後のモデルマウスの病態とどのように関わるかを調べ、さらに、患者から提供された剖検脳を用いて、モデルマウスで推定された新規病態を確認した。 このような研究手法から、主に下記の結果を得た。 ①胎児期神経幹細胞のDNA損傷が十分に修復されず、誘導される DNA 損傷ストレスが超早期(タンパク質凝集が認められる遥か以前)に前頭側頭葉変性症病態の端緒となる。②神経幹細胞に蓄積したDNA損傷は、神経幹細胞から神経細胞に分化した後にも持ち越されて、超早期の神経細胞のネクローシスにつながる。③前頭側頭葉変性症は、種々の原因遺伝子変異によって発症する多様な疾患グループであるにもかかわらず、神経幹細胞のDNA損傷から、超早期神経細胞ネクローシスを経て、変性タンパク質凝集につながる過程はどのタイプの前頭側頭葉変性症においても共通する。④前頭側頭葉変性症の4種類のモデルマウスは、発達期に小頭症を示すが、成体(大人のマウス)になるに従って、グリア細胞の増殖、神経細胞の体積増大によって、脳のサイズが正常化する。⑤超早期神経細胞ネクローシスを反映するバイオマーカーを開発できる可能性がある。 ⑥前頭側頭葉変性症に対して、ウイルスベクターによる新たな治療法を開発できる可能性がある。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] DNA damage in embryonic neural stem cell determines FTLDs’ fate via early-stage neuronal necrosis2021
Author(s)
Homma H, Tanaka H, Jin M, Jin X, Huang Y, Yoshioka Y, Bertens CJ, Tsumaki K, Kondo K, Shiwaku H, Tagawa K, Akatsu H, Atsuta N, Katsuno M, Furukawa K, Ishiki A, Waragai M, Ohtomo G, Iwata A, Yokota T, Inoue H, Arai H, Sobue G, Sone M, Fujita K, Okazawa H.
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Journal Title
Life Science Alliance
Volume: 4
Pages: e202101022
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] 胎児期神経幹細胞のDNA損傷が早期神経細胞ネクローシスを介してFTLD発症を運命付ける2021
Author(s)
藤田 慶大, 本間 秀典, 田中 ひかり, Meihua Jin, Xiaocen Jin, Yong Huang, 吉岡 優希, 近藤 和, 塩飽 裕紀, 田川 一彦, 岡澤 均
Organizer
第40回日本認知症学会学術集会