2020 Fiscal Year Research-status Report
染色体分配関連因子による熱ショック遺伝子の転写誘導機構の解明
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19K07402
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
瀧井 良祐 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (00419558)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 熱ショック応答 / 転写 / HSF / DNAプルダウン / 進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、DNAプルダウンアッセイとプロテオーム解析を基盤とした手法により、HSF1転写複合体の構成因子を同定した。まず進化的アプローチにより、HSF1のDBD領域にある16番目のプロリンと、領域X内の22アミノ酸が活性化に必要であることを明らかにした。そこで、野生型および変異型HSF1を用いHSF1転写複合体の構成因子群をプロテオーム解析により明らかにした。その解析から約200の因子を同定し、さらに詳細に調べるとHSF1の転写活性と相関して、結合量が変化する因子群が複数存在した。 その中には、既知だけでなく、新規のHSF1相互作用タンパク質が数多く見つかった。そこで、これらの中から比較的上位にある11因子に着目し、ノックダウンを行い、熱依存的なHSP70の誘導能の変化を調べた。その結果、5因子がHSP70誘導能の低下を引き起こした。そこで研究代表者は、染色体分配関連因子(Shugoshin2)に着目した。同因子は、熱刺激時の転写との関連について報告はない。この因子は、熱刺激時にHSF1依存的にHSP70プロモーター領域へ呼び込まれることが分かった。また、この因子は、様々なマウスの細胞においても、熱依存的なHSP70の誘導に必要であることがわかった。さらに、熱依存的な細胞死についても、同因子のノックダウンは、強い細胞死の誘導とユビキチンタンパク質の蓄積の上昇が見られ、熱依存的なプロテオスタシスの維持に必要であることがわかった。今後は、この因子がどのようにHSP70の転写誘導を活性化するのか、相互作用タンパク質の解析を網羅的に行い、その分子機構を明らかにしたい。またマウス細胞だけでなく、「ヒト」の細胞における効果も検討したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
染色体分配関連因子SGO2は、マウス線維芽細胞MEFにおいて熱刺激依存的なHSP70の発現に必要であった。また、タンパク質毒性ストレス条件下(亜ヒ酸ナトリウム、プロリンアナログ、プロテアソーム阻害剤)におけるHSP70の発現においてもSGO2は、重要な促進因子であることがわかった。さらにマウスSGO2に対する抗体を作成し、HSF1との相互作用を調べた結果、熱刺激化においてのみHSF1とSGO2の相互作用を確認できた。また、様々な両者の領域欠損変異体を作成し、HSF1とSGO2の相互作用に必要な領域を決定した。SGO2は熱刺激依存的にクロマチン免疫沈降法によるHSP70プロモーター部位への集積が見られた。またその集積は、HSF1欠損で見られなくなることからHSF1依存的にSGO2がHSP70プロモーターへ集積することがわかった。また、HSF1またはSGO2の相互作用できない変異体を用い た解析では、両者の相互作用が見られなくなり、またHSP70プロモーターへの集積も見られなくなった。さらに予備的な実験において、SGO2に対する相互作用タンパク質を解析した結果、RNA polymerase IIとの結合が示唆された。今後は、HSF1-SGO2-Pol IIの関係を詳細に調べていく。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスSGO2が熱依存的なHSP70発現に必要な因子であることがわかった。同時にHSP70プロモーターへの集積も見られることから、HSF1の転写のコアクチベーターであることがわかる。一方で、SGO2は一般的な転写のコアクチベーターとしての報告はない。そこで、SGO2の相互作用タンパク質を網羅的に解析し、転写の促進因子を同定しなければならない。ヒトSGO1による相互作用タンパク質の網羅的解析から、RNA ポリメラーゼIIが同定され、ノンコーディングRNAの転写に関わることが報告されている。このような強力な転写の促進因子が同定できることを期待する。熱依存的な転写の促進因子を同定するために、熱刺激あり、5分、10分の核抽出液を調整し、抗SGO2抗体を用いた免役沈降を行い、SGO2の相互作用タンパク質をMASスペクトロメトリーを用い解析を行う。また、熱による細胞死、 細胞内ユビキチン化タンパク質の蓄積、を解析する。さらに、マウスだけではなく、ヒトSGOファミリー分子(SGO1およびSGO2)群が熱刺激依存的な遺伝子発現に関わることを確認する。最終的にはマウス、ヒトSGOが染色体分配だけでなく、転写の促進因子として働くことを明らかにしたい。
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Research Products
(4 results)