2020 Fiscal Year Research-status Report
Innovative histopathological diagnosis and therapy in osteosarcoma
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19K07413
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
森谷 鈴子 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (20283559)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
茶野 徳宏 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (40346028)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | RAB39A / RXRB / osteosarcoma / RDH10 / ovarian cancer / carbohydrate |
Outline of Annual Research Achievements |
新規の骨肉腫がん幹細胞経路RAB39A-RXRBを適用した、(a) 分子病理診断、(b) 分子標的治療、の開発を目指し、研究を実施している。 (a) 骨肉腫コホートに於けるRAB39A, RXRBの発現レベル評価を免疫組織化学的手法にて実施した。約100例のコホートに於いて各蛋白の発現レベルの評価を行ったが、発現状態と病理、及び、臨床データに有意な関連は見つけられなかった。RAB39A, RXRB両分子は骨肉腫のほぼ全てに於いて高発現であり、その病態に深く関わることが推定されたが、臨床病理学的な診断マーカーとしての有用性は難しいと考えられた。 (b) 骨肉腫in vitro実験モデルに於いて、RNAiを用いたRAB39A-RXRB分子経路を標的とする分子阻害実験を行った。骨肉腫各細胞(U2OS, Saos-2, HOS, 143B)に於いて、RAB39A RNAiを用いた標的阻害は強い抗がん効果を示した。本結果は、2D cultureを用いた骨肉腫細胞の増殖阻害実験でも、また、3D spheroid cultureを併用した骨肉腫がん幹細胞sphereの阻害実験でも共通しており、RAB39Aは骨肉腫に対する良い分子標的になり得ると考えられた。
がん幹細胞の維持に関わるRXRBをコントロールする分子経路、分子探索の再探索を実施した。この結果、vitamin A and carotenoid代謝経路のRDH10がkey moleculeであることを同定した。RDH10分子は骨肉腫ではがん幹細胞の維持に寄与しないものの、卵巣がん、特に卵巣明細胞癌において重要であることを明らかにできた。 RDH10が卵巣明細胞癌に於いて、がん幹細胞維持に関わるメカニズムについて、臨床病理学的、分子生物学的に解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
骨肉腫の臨床病理学的解析に於いては、RAB39A-RXRB経路の発現variationは見られず、臨床病理診断の補助バイオマーカーとはならないと考えられた。しかし、反面、ほぼすべての骨肉腫細胞で本経路が増強しており、更に、in vitro実験に於いてRAB39A分子の標的阻害が強い抗がん効果を示すことを実証した。よって、RAB39Aは骨肉腫に対して広く適用可能で、効果的な分子標的となり得ると考えている。 RAB39A以外でRXRBがん幹細胞経路を支援する分子探索を行い、RDH10分子を同定した。RDH10分子は骨肉腫ではその発現は乏しいものの、卵巣癌、特に卵巣明細胞癌に於いて、その発現が特異的に高いことを発見した。現在、その意義について、臨床病理学的、分子生物学的に解析中である。 本研究は、骨肉腫解析から始まったが、想定していなかったがん種(卵巣癌)に於いて、新たながん幹細胞経路を解明する方向性の内容に発展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、骨肉腫解析から始まり、想定していなかったがん種(卵巣明細胞癌)に於いて、新たながん幹細胞経路、標的分子RDH10を解明、解析する方向に発展しつつある。 卵巣明細胞癌に於いて、RDH10が、がん幹細胞維持に関わるメカニズムについて、臨床病理学的、分子生物学的に解析中であり、RDH10の標的阻害が卵巣明細胞癌の治療に貢献できるのかを明らかにしてゆく。
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