2019 Fiscal Year Research-status Report
細胞診検体を用いてmiRNAとlncRNAを標的とする胆管癌の診断モデルの構築
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19K07415
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
有廣 光司 広島大学, 病院(医), 教授 (70232064)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城間 紀之 広島大学, 病院(医), 助教 (30634927) [Withdrawn]
織田 麻琴 広島大学, 病院(医), 歯科診療医 (50814331) [Withdrawn]
内畠 由加里 広島大学, 病院(医), 契約臨床検査技師 (60816338)
鈴木 賢一 広島大学, 統合生命科学研究科(理), 特任准教授 (90363043)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 胆汁細胞診 / microRNA / 肝外胆管癌 / real time PCR法 / 絶対定量解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
【はじめに】胆管組織検体及び胆汁細胞診検体を対象として,microRNA (miR)の発現を指標とした補助診断が可能であるか検討した。 【対象】本学の胆管病変ファイルの中から肝外胆管癌39例及び非癌部胆管組織23例の凍結組織をtraining setとして用いた。これらの症例のうち51例の胆汁細胞診標本から剥離した細胞検体も対象とした。更に81例の新鮮な胆汁細胞診検体をvalidation setとした。 【方法】胆管組織及び細胞診標本から型通りにtotal RNAを抽出した。miR-31,miR-92,miR-182,miR-122,miR-378dをターゲットとしてTaqMan MicroRNA Assaysを用いて,RNU6Bを対照として real time PCR法による絶対定量解析を行った。 【結果と考察】胆管組織検体ではmiR-31及びmiR-182の発現量が腫瘍例では非腫瘍例よりも有意に低く,miR-122及びmiR-378dは腫瘍例では非腫瘍例よりも有意に高かった。miR-92は腫瘍例と非腫瘍例で有意な差はなかった。一方,細胞診標本剥離検体では,miR-31が腫瘍例では非腫瘍例よりも有意に発現が高く,miR-122は低かった。miR-92,miR-182あるいはmiR-378dは腫瘍例と非腫瘍例で有意差はなかった。新鮮胆汁細胞診検体ではmiR-31,miR-122,miR-378dが腫瘍例で非腫瘍例より有意に発現が低かった。miR-182及びmiR-92は腫瘍例と非腫瘍例で有意差はなかった。組織検体と細胞診検体で互いにmicroRNAの発現傾向が異なったのは構成細胞の相違のためであろう。検体に応じて指標とするmicroRNAの適切な組み合わせを選択することで良悪性の鑑別が可能であろう。microRNAの発現量の検索は胆汁細胞診の精度向上に貢献することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各研究分担者がそれぞれの役割を果たしていると思われるから。
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Strategy for Future Research Activity |
検討したマーカーあるいはコントロールのうち未知のmiRNA、lncRNAについて機能解析を行う。肝外胆管癌のうち低分化癌細胞株KKU-055、KKU-100、高分化癌細胞株KKU-213及び肝内胆管癌細胞株HuCCA-1、更に非癌肝内胆管細胞株H69(これらの細胞株は国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所JCRB細胞バンクから提供される)を対象として、miRNA、lncRNAのmimicsを用いた機能抑制した後、増殖能、運動能、浸潤能及び上皮間葉転換関連蛋白などの発現の変化を検討する。 次に胆汁細胞診検体の液体成分のみを対象とする検索も行う。殊に本研究では、胆管癌症例と良性病変症例の各細胞診で『良性』あるいは『鑑別困難』と判定された検体を対象とする診断マーカーの発現の異同に着目して検討する。すなわち胆管癌症例で『良性』あるいは『鑑別困難』と判定された検体に『悪性』と判定された検体と同様の診断マーカーの変化が検出され、良性病変症例の検体で検出されなければ、早期診断に有用な診断マーカーとなり得るからである。このため胆汁液中のエクソソームexosomeを抽出した検討も行う。
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Research Products
(3 results)