2019 Fiscal Year Research-status Report
蛍光ナノイメージング法による肺癌免疫微小環境の特徴化: 個別化免疫療法を目指して
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19K07426
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Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
稲村 健太郎 公益財団法人がん研究会, がん研究所 病理部, 主任研究員 (40442545)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 肺がん / 微小環境 / 免疫チェックポイント阻害薬 / 免疫療法 / 個別化医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
PD-1/PD-L1阻害薬などの免疫療法薬が有望な肺癌治療薬として台頭してきたが、治療感受性を正確に予測することは難しい。2018年、腸内細菌と免疫療法薬感受性の密接な関係を示す3つの論文がScience誌に同時掲載された。免疫療法薬の効果を増強させる腸内細菌は肺癌等、腸管と離れた遠隔臓器の腫瘍免疫微小環境においても抗腫瘍T細胞性免疫を亢進させることで免疫療法薬の効果を増強させた。これらの研究により明らかになった免疫療法薬感受性を亢進させる免疫微小環境についての知見を深めるとともに、執筆した総説がSeminars in Cancer Biology誌にpublishされた(Inamura K. Roles of microbiota in response to cancer immunotherapy. Seminars in Cancer Biology 2020. doi: 10.1016/j.semcancer.2019.12.026)。 腫瘍微小環境は腫瘍細胞・免疫細胞間だけでなく、種々の免疫細胞間の複雑な相互作用によって形成される。PD-1/PD-L1阻害薬に感受性をもつ肺癌の免疫微小環境を特徴化するために、種々の免疫細胞・免疫関連分子による肺癌のプロファイル化に取り組んでいる。例えば、腫瘍促進性免疫を亢進させるCSF1R免疫調節分子に注目し、腫瘍関連マクロファージ(TAM)におけるCSF1R発現と予後を含む臨床病理学的事項との関係を調べた。喫煙歴によって肺癌の免疫微小環境が異なっており、非喫煙者の肺癌においてCSF1R高発現TAMが腫瘍促進性の微小環境の形成に特に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。追加実験により、種々の免疫細胞に発現するCSF1Rの腫瘍免疫微小環境における役割を検索している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・免疫療法薬感受性を亢進させる免疫微小環境についての知見を深めるとともに、執筆した総説がSeminars in Cancer Biology誌にpublishされた(Inamura K. Roles of microbiota in response to cancer immunotherapy. Seminars in Cancer Biology 2020. doi: 10.1016/j.semcancer.2019.12.026)。 ・種々の免疫細胞・免疫関連分子による肺癌のプロファイル化に取り組んでいる。非喫煙者の肺癌においてCSF1R高発現腫瘍関連マクロファージが腫瘍促進性の微小環境の形成に特に重要な可能性を果たしている可能性を示唆する結果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
・追加実験により、種々の免疫細胞に発現するCSF1Rの腫瘍微小環境における役割を明らかにする(手術検体)。 ・CSF1R以外の免疫関連分子にも注目し、種々の免疫細胞・免疫関連分子によって肺癌免疫微小環境をプロファイル化する(手術検体)。 ・進行性肺癌(生検検体)の免疫微小環境をプロファイル化するために、症例選択および臨床病理データベースを構築する。 ・手術検体による検討で得られたアルゴリズムを用いて、進行性肺癌の免疫微小環境をプロファイル化する。 ・PD-1/PD-L1阻害薬感受性情報を加えた統合解析により、治療感受性肺癌に特徴的な免疫微小環境プロファイルを同定するとともに、感受性予測マーカーを探索する。
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Causes of Carryover |
(状況)実験物品費が研究計画想定時より安価であったとともに、共用物品を使用することが可能であった。 (使用計画)次年度の実験物品費・論文の英文校正費・論文掲載費・学会発表費に充てる予定である。
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Research Products
(7 results)