2021 Fiscal Year Research-status Report
高齢者胃癌の分子病理学的特徴に基づく治療戦略の探索
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19K07428
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
新井 富生 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (20232019)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 陽子 香川大学, 医学部, 教授 (20363187)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 胃癌 / 高齢者 / 乳頭腺癌 / 印環細胞癌 / 低分化腺癌 / マイクロサテライト不安定性 / PD-L1 / 免疫チェックポイント阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.乳頭腺癌の分子病理学的検討.胃乳頭腺癌の分子病理学的特徴ならびに免疫チェックポイント阻害薬の適応を明らかにする目的で,40例(男性15例,女性25例,平均年齢78.7歳)の乳頭腺癌を解析した.分子病理学的に分類では,マイクロサテライト不安定性(MSI)は17例(43%)にみられ,他はEpstein-Barrウイルス関連(EBV)2例(5%),染色体不安定性7例(CIN)(18%),ゲノム安定性(GS)17例(43%)であった.MSIに分類される乳頭腺癌では,女性,下部発生,低分化腺癌成分の混在,早期癌比率と関連がみられた.粘液形質はnull typeの比率が高かった.MSIを示す乳頭腺癌では,tumor-infiltrating lymphocyte(7.8±3.1個/HPF),Cohn’s-like lymphoid reaction(57%)が有意にみられた.PD-L1発現は腫瘍細胞での発現(Tumor proportion score≧1%)は7例(17.5%)にみられ,間質の免疫細胞を含む細胞でのPD-L1の発現(Combined proportion score≧10%)の陽性率は25例(62.5%)であった.TPS, CPSともにEBV、MSIに陽性率が高かった. 2.印環細胞癌・非充実型低分化腺癌の分子病理学的分類.高齢者胃癌のうち印環細胞癌25例、非充実型低分化腺癌22例を、免疫組織化学的に判定する代替法を用いて分子病理学的に分類した。印環細胞癌はGS 18例(72%)、CIN7例(28%)であり、非充実型低分化腺癌ではGS9例(41%)、CIN15例(68%)であった.印環細胞癌は早期癌の比率が高いので,非充実型低分化腺癌へ移行する症例では病理病理学的に染色体不安定性を示す腫瘍が増加することが示唆される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高齢者胃癌のうち,乳頭癌と分化傾向の低い印環細胞癌,充実型低分化腺癌,非充実型低分化腺癌に注目してその臨床病理学的特徴を明らかにするとともに,分子病理学的な分類(マイクロサテライト不安定性、Epstein-Barrウイルス関連、染色体不安定性、ゲノム安定性)との関連について現在解析を進めている.また,内視鏡切除対象となる早期胃癌のうちどのような分子病理学的特徴を有する腫瘍が粘膜下浸潤を示すかについて,病理組織学的解析を終了し,データをまとめている最中である.
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Strategy for Future Research Activity |
高齢者胃癌のうちどのような特徴を有する腫瘍が免疫チェックポイント阻害剤の適応となるかについて検討を進める.また,高齢者早期胃癌のうち粘膜下層への浸潤を示す症例や脈管侵襲が目立つ症例の特徴を明らかにする予定である.
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Causes of Carryover |
データを整理し,解析中であり,今後論文作成,英文校正,論文掲載料などの支出が予定される.論文ができ次第,英文校正を行い,学術雑誌に投稿する予定である.
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Research Products
(4 results)