2020 Fiscal Year Research-status Report
Ultra-Microscopic Analysis of Nursing Phenomenon in Synovial Tissue of Rheumatoid Arthritis
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19K07431
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
黒瀬 理恵 弘前大学, 医学研究科, 客員研究員 (30423990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤井 高志 東北大学, 医学系研究科, 学術研究員 (00125577)
佐藤 孝 岩手医科大学, 医学部, 教授 (20170756)
黒瀬 顕 弘前大学, 医学研究科, 教授 (70244910)
石橋 恭之 弘前大学, 医学研究科, 教授 (80292142)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 関節リウマチ / 滑膜組織 / 線維芽細胞様細胞 / CD14 / 免疫疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
病理組織学的に関節リウマチの炎症は非特異的炎症といわれているが,一般的な外傷などによる炎症とは異なり,リンパ球,好中球,マクロファージなどの炎症細胞,新生血管,紡錘形の線維芽細胞など実に多彩な細胞から構成され,滑膜組織像は大きく異なる.関節リウマチ滑膜組織では,多彩な細胞のなかでも形態的に紡錘形細胞を線維芽細胞様細胞(fibroblast-like synoviocyte; FLS)とよんでいる.関節リウマチFLSは,TNF-alfaやIL-6といった様々な炎症性サイトカインを放出し骨軟骨破壊にも関与するといった多彩な機能を有し,関節リウマチを特徴付ける細胞として知られている. 電子顕微鏡による3次元解析によって,これまで紡錘形と考えられていた関節リウマチFLSが樹状形をし隣接するリンパ球や形質細胞を庇護するようなNursing現象を有していることが認められた.一方,変形性関節症の手術の際に時に肉眼的に関節リウマチのような滑膜炎組織をみることがあるが,電子顕微鏡解析では樹状形細胞はほとんど認められなかった. 関節リウマチ滑膜組織の蛍光二重染色では,樹状形細胞がCD14, CD68, HLA-DRに加え,ビメンチンも陽性であることが認められた.以上から関節リウマチ滑膜にみられるCD14陽性樹状形細胞は,免疫応答細胞および間葉系細胞としての性質をもつと考える.なかでも関節リウマチ滑膜組織の血管周囲にみられる樹状形細胞は,CD14+を示すと同時にThy-1+を示した.このことはCD14陽性樹状形細胞が隣接するリンパ球の活性化を促進し,関節リウマチの慢性炎症といった病態に大きく関与している可能性を示唆している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
関節リウマチ,肉芽組織,変形性関節症の滑膜組織を用いて,電子顕微鏡学的解析,免疫組織学的解析を行うために,手術時に滑膜組織を採取後すぐに凍結保存,あるいは固定しサンプルを集積している.同時に年齢,性別,罹病期間,疾患活動性,CRPやESR,RF,抗CCP抗体,MMP-3などの血清マーカー,レントゲンによる関節破壊分類,治療内容といった臨床情報を集積している. 本研究の遂行には関節リウマチの炎症性の組織が必要であるが,近年の薬物療法の発展によって手術自体が減少していることが,研究がやや遅れている原因と考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
関節リウマチの臨床評価と樹状形細胞数,Nursing現象数との関連について組織学的に検討し,症例数を増やして統計学的に解析していく.また関節リウマチの炎症慢性化に大きく関わる樹状形細胞の起源について間葉系幹細胞や造血幹細胞との関係についても組織学的な解析を中心に検討をすすめていく.さらにデータを集積していくことが必要である.
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Causes of Carryover |
本研究の遂行のために次年度も継続した研究が必要であり,次年度使用額は研究に必要な試薬の購入等に充てる予定である.
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Research Products
(3 results)