2021 Fiscal Year Research-status Report
Ultra-Microscopic Analysis of Nursing Phenomenon in Synovial Tissue of Rheumatoid Arthritis
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19K07431
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
黒瀬 理恵 弘前大学, 医学研究科, 客員研究員 (30423990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤井 高志 東北大学, 医学系研究科, 学術研究員 (00125577)
佐藤 孝 岩手医科大学, 医学部, 教授 (20170756)
黒瀬 顕 弘前大学, 医学研究科, 教授 (70244910)
石橋 恭之 弘前大学, 医学研究科, 教授 (80292142)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 関節リウマチ / 滑膜組織 / 線維芽細胞様細胞 / CD14 |
Outline of Annual Research Achievements |
病理組織学的に非特異的炎症といわれる関節リウマチの滑膜組織中にCD14陽性樹状形細胞が存在し,電子顕微鏡による3次元解析の結果,それらは隣接するリンパ球や形質細胞とNursing現象を有しcell-to-cell contact現象を生じていることが明らかになった.CD14陽性樹状形細胞は免疫組織学的染色により,HLA-DRも陽性を示す細胞が殆どで,このことは免疫応答細胞であることを示唆する.さらに一部の細胞はCD68陽性であり,このことは貪食能を有するマクロファージ系細胞であることを示唆する.さらに間葉系細胞かどうかを調べるために染色したビメンチンでは,ほぼ全ての細胞が陽性であった.以上から関節リウマチ滑膜組織にみられるCD14陽性樹状形細胞は,免疫応答細胞,貪食細胞,さらに間葉系細胞としての非常にユニークな性質をもっていることが示唆された. 蛍光二重免疫染色の結果,関節リウマチ滑膜組織の血管周囲にみられる樹状形細胞は,CD14陽性を示すと同時にCD90(Thy-1) 陽性を示した.CD90は未分化間葉系幹細胞マーカーとしても知られており,CD14+CD90+細胞が幹細胞に近い細胞である可能性が示唆される.フローサイトメトリー解析では関節リウマチ滑膜組織で変形性関節症の滑膜組織よりもCD14+CD90+細胞が多くみられた.またsortingしたCD14+CD90+細胞を樹状細胞分化培地で培養をした結果,CD14-CD90-細胞よりもCD83陽性細胞が多くみられた.すなわち,関節リウマチ滑膜組織のCD14陽性樹状形細胞は,樹状細胞ヘ分化する可能性が示唆された. 以上からCD14陽性樹状形細胞が関節リウマチの病態形成に大きく関与していると考えられる.しかしその起源や機能についてはまだ課題が多く残されている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1.電子顕微鏡を用いたNursing現象に関与する細胞の形態学的な検討.関節リウマチ,変形性関節症の滑膜組織,また肉芽組織を用いた電子顕微鏡解析の結果,関節リウマチ滑膜組織では樹状形細胞が多くみられ,隣接するリンパ球や形質細胞とNursing現象を有していた.この現象は変形性関節症の滑膜組織や肉芽組織においては殆ど見られなかった. 2.Nursing現象にみられるcell-to-cell contactの意義.関節リウマチ滑膜組織内で樹状形細胞は隣接するリンパ球や形質細胞とNursing現象を有し,細胞間の一部でcell-to-cell contact現象を生じていた.cell-to-cell contact現象は,これまでの先行研究からリンパ球のアポトーシスの抑制やリンパ球を活性化させるサイトカインやケモカインの分泌などが考えられているが,まだ未解決で検討が必要である. 3.CD14陽性樹状形細胞と間葉系幹細胞との関係.CD14陽性樹状形細胞と間葉系幹細胞との関係について解明するために,ビメンチンやCD90を用いた蛍光二重免疫染色を行った.その結果,関節リウマチ滑膜組織内のCD14陽性樹状形細胞のほぼ全てがビメンチン陽性であった.また関節リウマチ滑膜組織の血管周囲ではCD90とダブル陽性を示した.CD14+ビメンチン+細胞およびCD14+CD90細胞ともその細胞の割合と,滑膜炎の炎症程度を数値化したKrenn滑膜炎スコアと相関していた. 本研究の遂行には,関節リウマチの活動性の高い炎症性組織が必要であるが,近年の薬物療法の発展によって手術自体が減少していること,また疾患活動性が低く研究に適したサンプルが少ないことが,研究がやや遅れている原因と考えている.今後も症例数を増やすために関節リウマチを中心にサンプルを集積していく.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究から,関節リウマチの滑膜組織にみられるCD14陽性樹状形細胞が関節リウマチの病態形成に関与していることが示唆された.今後はこの細胞の起源や機能についてさらに追求していく予定である.具体的には,研究材料に滑膜組織だけでなく末梢血液も集め,血液中のCD14陽性樹状形細胞の存在について解析する.また培養実験によるリンパ球活性化能の検討,分化させたCD83陽性細胞の機能についても検討を進めていく予定である. 本研究の発展は,将来的に関節リウマチの病態解明,慢性炎症の解明,さらに細胞を標的とした治療につながる可能性があると考えている.
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Causes of Carryover |
本研究の遂行のために次年度も継続した研究が必要であり,次年度使用額は研究に必要な試薬の購入等に充てる予定である.
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Research Products
(5 results)