2021 Fiscal Year Annual Research Report
HTLV-1ウイルス遺伝子産物の組織内同定法の開発とその病理学的意義の解明
Project/Area Number |
19K07438
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
加留部 謙之輔 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (20508577)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | HTLV-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
成人T細胞白血病/リンパ腫(Adult T-cell leukemia/lymphoma, ATLL)の組織内、細胞内におけるヒトT細胞白血病ウイルス(Human T-cell leukemia virus, HTLV-1)の関与及び局在の同定のため、本研究ではHTLV-1ウイルス遺伝子の転写産物を標的とした超高感度RNA in situ hybridization法により、腫瘍内でのHTLV-1の「局在」を明らかにすること、また日常診断への応用を目的とした。 結果として、HTLV-1ウイルスが産生するHBZのmRNAに対するin situ hybridization(HBZ in situ法)により、ATL腫瘍標本におけるウイルス粒子の同定が可能になった。さらに、HBZ in situ法の感度、特異度を明らかにするために定量PCRによるHTLV-1ウイルスゲノムの定量、及びサザンブロットによるウイルスの宿主ゲノムへの組み込みの実験系を確立した。成人T細胞白血病・リンパ腫(ATLL)の確定診断にはサザンブロット(SBH)法でHTLV-1プロウイルスのモノクローナルな組み込みが確認されること必要であるが、大量の生検体を要し、少量検体やFFPE検体では実施困難である。そこで、本研究はウイルス関連遺伝子であるHBZに対するRNA in situ hybridization(HBZ-ISH)法およびtax遺伝子の定量PCR(tax-qPCR)法を併用し、SBH法の代替法としての有用性を検討した。ATLL53例、HTLV-1キャリア38例を含む非ATLL症例54例で解析を行った。HBZ-ISH法はATLL53例中33例(62%)でウイルス感染細胞の局在と浸潤範囲の把握が可能であった。一方、tax-qPCR法は、100有核細胞中のHTLV-1プロウイルス量のカットオフ値を10%とすると、ATLL53例中47例(89%)で陽性と判定でき、キャリア検体は全例陰性であった。両者を組み合わせた診断アルゴリズムによって、95%(102/107例)で解析可能であり、感度および特異度ともに100%でATLLを鑑別できた。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] A new diagnostic algorithm using biopsy specimens in adult T-cell leukemia/lymphoma: combination of RNA in situ hybridization and quantitative PCR for HTLV-12021
Author(s)
Takatori M, Sakihama S, Miyara M, Imaizumi N, Miyagi T, Ohshiro K, Nakazato I, Hayashi M, Todoroki J, Morishima S, Masuzaki H, Fukushima T, Karube K.
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Journal Title
Modern Pathology
Volume: 34
Pages: 51-58
DOI
Peer Reviewed / Open Access