2020 Fiscal Year Research-status Report
Identification of potential biomarkers for elucidation of pathogenesis in anti-brush border antibody disease by mass spectrometry
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19K07445
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
康 徳東 昭和大学, 医学部, 助教 (00571952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本田 一穂 昭和大学, 医学部, 教授 (10256505)
高木 孝士 昭和大学, 大学共同利用機関等の部局等, 講師 (10774820)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 抗刷子縁抗体病 / 近位尿細管上皮傷害 / 液体クロマトグラフィータンデム型質量分析 / Heymann腎炎 / Megalin |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年米国腎臓学会誌に新しく腎疾患概念として提唱された抗刷子縁抗体病(Anti-brush border antibody disease: ABBAD)は、重篤な腎尿細管障害により急速に腎機能が低下する予後不良の疾患である。2016年までは原因不明の腎尿細管障害として認識され、発生機序の解明と治療法の開発が急がれている。近年高感度の液体クロマトグラフィータンデム型質量分析(LC-MS/MS)法を用いた微量タンパク質解析の著しい進歩により、疾患メカニズムに関連した因子の解析が原理的に可能になってきた。申請者はこれまでに、抗刷子縁抗体によるHeymann腎炎ラットモデル(以下Heymann腎炎)を作成し、ヒトに類似した近位尿細管上皮障害と間質炎症を再現した。Heymann腎炎は糸球体病変の研究報告が多く、尿細管間質障害の報告はほとんどない。本研究ではHeymann腎炎を用い、ヒトABBADの発症メカニズムを明らかにすることを目的とする。得られた知見は薬剤性や虚血性尿細管、さらに糸球体疾患の二次的尿細管間質障害の機序にも関連し、腎機能低下のCommon pathwayを阻止する治療戦略に繋がると期待される。現在Heymann腎炎ラットでは腎臓の間質病変が正常ラットより強く、画像解析による間質に炎症細胞浸潤および線維化病変面積の変化は両群に有意な差が認められた。また、LMD-LCMS-MS分析により近位尿細管における上皮細胞の傷害および修復に関連したタンパク質の変化を含め、尿細管間質障害に及ぼすメガリン抗体の影響に関しては、現在詳細に病理学・分子生物学的解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度Doseの投与量により複数グループのHeymann腎炎ラットを用い、血中・尿中の尿細管傷害マーカーを測定した。各群のラットには尿細管傷害の形態学的特徴が確認され、LCMS-MS分析で有意な差を示したタンパクが見つかれた。データーを一部に追加する必要があり、ラットの購入・飼育の制限があるため、モデル作成やLCMS/MS分析や画像解析の順次に開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
Heymann腎炎ラット群における尿細管上皮細胞の傷害には形態学的とプロテオミクス解析の手法で有意な所見を確認できた。2022年度にはレーザーマイクロダイセクションを用いて,蛋白尿や血中マーかーの上昇にみられるラットの尿細管上皮細胞を切り出し、LC-MS/MS分析,免疫染色、western blotなどの方法で関連したタンパク質を網羅的に発現する。2022年度にモデルを追加し、質量分析実験に必要となる分析試薬などを購入し、発症機序に関連したタンパク質の検証を遂行することは支障がないと考える。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染の影響のため、時期により動物や試薬の購入などが難航になっていた。翌年度分として請求した助成金と合わせて使用し、動物実験の消耗品代として利用する予定である。
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