2021 Fiscal Year Annual Research Report
Specific mitochondrial electron transport chain processes involve oncogenesis of ovarian clear cell adenocarcinoma and can be targets of therapy
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19K07446
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
山崎 一人 帝京大学, 医学部, 教授 (60302519)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 卵巣 / 明細胞癌 / フェロトーシス / グルタチオン |
Outline of Annual Research Achievements |
形態学的/遺伝子変異プロファイルの点において定型的な卵巣明細胞癌細胞株(RMGV-2)を用いて、阻害薬によるGST依存性フェロトーシス耐性因子の抗膜脂質酸化能(フェロトーシス耐性)を評価した.使用した阻害剤は,シスチントランスポーターを抑制して細胞内グルタチオンを減少させるスルファサラジンとエラスチン、グルタチオン合成に関与する重要な酵素であるCTHの不可逆的阻害剤であるDL-プロパルギルグリシン,GPx4のセレノシステイン活性部位に直接結合する酵素活性阻害剤(1S, 3R)-RSL3である.RMGV-2細胞株に対してこれらの阻害剤を投与したところいずれにおいても膜脂質の酸化が亢進し、細胞増殖能は有意に低下した(スルファサラジン: IC50 = 1mM, エラスチン: IC50 = 1.5mM, DL-プロパルギルグリシン: IC50 = 8.5mM, (1S, 3R)-RSL3: IC50 = 2μM).これは 腫瘍細胞の抗酸化能が低下することで自然発生する酸化ストレスへの感受性が高まり、癌細胞がアポトーシスに至ったためと推察された.以上の結果から,卵巣明細胞癌においてはGST依存性のフェロトーシス耐性が亢進しており,その要因としてGSTの合成に必要なCTH,GSTを基質として細胞膜脂質の酸化を抑制し得るGPx4の発現が亢進していることが示唆された.明細胞腺癌は化学療法に対する感受性が低く進行例の予後は不良であり,標準化学療法であるTC療法との組み合わせを含めた分子標的治療の有用性の検証が求められている.本研究の内容は卵巣明細胞癌の特異的な生物学的特徴である内膜症性嚢胞由来,酸化ストレス耐性,化学療法抵抗性の裏付けとなるものであり,従来の化学療法とフェロトーシス耐性因子阻害剤の併用投与の有用性を示唆するものと考える.
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Research Products
(1 results)