2020 Fiscal Year Research-status Report
Exhaustively analysis of NETs and METs related diseases in paraffin sections
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19K07448
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
塩竈 和也 藤田医科大学, 医療科学部, 講師 (10387699)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚本 徹哉 藤田医科大学, 医学部, 教授 (00236861)
尾之内 高慶 藤田医科大学, 共同利用研究設備サポートセンター, 講師 (20632954)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 好中球細胞外トラップ / マクロファージ細胞外トラップ / 免疫染色 / ホルマリン固定パラフィン切片 / 膠芽腫 / M1マクロファージ / M2マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
マクロファージは、役割に応じてM1マクロファージとM2マクロファージの2つのphenotypeに大別される。M2マクロファージは炎症抑制に関与し、脳腫瘍の悪性度に比例して増加する。近年、マクロファージ独自の細胞死として、自らを網目状に形態変化させるマクロファージ細胞外トラップ Macrophage Extracellular Traps(METs)が報告された。今回われわれは、神経膠腫の中で最も悪性度が高い膠芽腫のホルマリン固定パラフィン切片を対象とし、膠芽腫におけるマクロファージの関与と形態学的変化ならびにMETsについて免疫組織化学的解析を行った。Iba1、CD163あるいはCD204を組み合わせた免疫多重染色により、M1およびM2マクロファージを鑑別する検出法を確立した。M2マクロファージは正常領域と膠芽腫の微小血管増殖の周囲にはごく少量しか存在しなかったが、正常血管の周囲、腫瘍浸潤部位およびPalisading necrosisに移行するに従い増加傾向を示し、活性化したM2マクロファージが多くを占めた。また、腫瘍部と壊死部の境界付近でMETsを検出することに成功し、フィブリンやラクトフェリンと共存していた。M2マクロファージは炎症抑制因子だけでなく、生体防御機能の一つであるMETs形成にも関与しており、不安定な状況下で様々な役割を担うことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画の段階よりもやや遅れ気味である。現在までに得られた結果は以下の〇点である。①各種Mφの鑑別には、Iba1とCD163の免疫多重染色が有用だった。②両マーカーが陽性の場合はM2Mφ、CD163が陰性の場合はM1Mφとして鑑別することができた。③正常領域ではRamified型のM1Mφが多く、微小血管増殖の周囲にはActivated型やPhagocytic型のM1Mφが多く浸潤していた。④正常血管の周囲、腫瘍浸潤部位およびPalisading necrosisではActivated型やPhagocytic型のM2Mφが大半を占めていた。⑤腫瘍部と壊死部の境界にMETs形成が限局的に認められ、線維状に伸びた核成分にMφの細胞質成分が顆粒状に付着して網目状構造物を形成していた。⑥好中球細胞質マーカーは陰性だったものの、ラクトフェリンおよびフィブリンが陽性を示し、METsと共存する傾向を示した。
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Strategy for Future Research Activity |
限定的ではあるものの、ホルマリン固定パラフィン切片の臨床サンプルからMETsの検出に成功した。しかしながら、METsは非常に限られた条件にのみ発動される現象であると考えられ、他の腫瘍においてもMETsが関与する疾患は少ないことが予測される。よって最終年度は、NETsに焦点を絞ってNETsが関与している可能性の高い臨床サンプルを用いて研究を進める。悪性腫瘍の浸潤先進部の周囲には、好中球浸潤を伴うことがある。この浸潤した好中球が既報のようにNETsを伴ってがんの転移に関係しているのか免疫組織化学的に解析する。上皮間葉転換および癌関連線維芽細胞などのがん微小環境の変化もあわせて検討する。白血球破砕性血管炎は血管周囲に核塵を伴い好中球が浸潤する血管炎症候群の一種である。この好中球由来と思われる核塵とNETsが同一物質なのか明らかにする。同時進行で、NETsとnecroptosisの関係性についても検討する。Necroptosisは炎症が引き金となって誘導されることが報告されており、NETsとnecroptosisとの関与を明らかにする。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、旅費および人件費・謝金にかかる経費がほとんどかからなかったため、その分を次年度にまわした。研究費の大半は消耗品、論文校正および投稿費にあてる。
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Research Products
(6 results)