2020 Fiscal Year Research-status Report
細胞診による中皮腫診断に関する研究:遺伝子変異の病理診断システムへの応用
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19K07451
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
鍋島 一樹 福岡大学, 医学部, 教授 (40189189)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱崎 慎 福岡大学, 医学部, 准教授 (90412600)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | mesothelioma / FISH / NF2 / CDKN2A/p16 / BAP1 / MTAP / cytology |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度(2019年度)はfluorescence in situ hybridization (FISH)施行可能な施設における診断感度向上を目指して、胸膜中皮腫(MPM)と反応性中皮過形成(RMH)の鑑別において、特異度は100%に保ちながら診断感度を上げる目的で、NF2 FISHの組織標本への応用に取り組み、その結果を報告した。2020年度には、その最終目標であった細胞診標本への応用に取り組み、組織と同様に良い結果を得ることができた。 MPM症例54例と反応性中皮細胞を含む症例(RMC症例)18例を用いて、そのセルブロック標本にて、NF2 FISH単独あるいは9p21 FISH、MTAP免疫染色(IHC)、BAP1 IHCとの併用の、両者の鑑別診断(MPM vs RMC)における有用性について検討した。各診断アッセイの感度を見ると、NF2 FISHではヘミ欠失が検出されたのは54例中28例(51.9%)で、その内訳はモノソミー(1SpR/1SpG)が54例中26例(48.1%)、ヘテロ欠失(1SpR/2SpG)が54例中2例(3.7%)であった。9p21 FISHによるホモ欠失は61.1%、IHCによるMTAP lossは52.8%、BAP1 lossは60.4%に認められた。BAP1 IHCと9p21 FISH、BAP1 IHCとMTAP IHCを組み合わせると、感度はそれぞれ87.0%と83.3%へ上昇した。NF2 FISHと9p21 FISHとBAP1 IHC3つのアッセイの併用では、感度は98.1%とさらに上昇した。 上記のごとく、前年度の組織における検討と同様に、細胞診標本においても、これまでの9p21 FISH, BAP1 IHCにNF2 FISHを併用することによって、特異度100%を維持しつつ、診断感度を100%近くにまで上げることが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目標であったNF2 FISHのMPM vs RMH鑑別における有用性は、組織標本においても、細胞診標本においても確認され、実際に日常診療やコンサルト症例の診断に応用している。 診断に用いる免疫染色の精度管理もこの研究の重要なテーマであるが、その福岡大学病院症例における評価時の問題点に関する検討も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
NF2 FISHのMPM vs RMH鑑別における有用性は組織標本においても、細胞診標本においてもその有用性が確認されたが、現在は単一施設での検討であるので、多施設共同研究によって、より多数の症例におけるNF2 FISHの有用性について、さらに検討を進めている。 また、診断に用いる免疫染色の精度管理もこの研究の重要なテーマであるが、現在、BAP1, MTAP免染の細胞診標本および組織標本における評価時の問題点に関する包括的検討も、多施設共同研究として取り組んでいる。
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Research Products
(12 results)