2019 Fiscal Year Research-status Report
上皮間葉転換関連分子を標的とする次世代型癌免疫療法の確立へ向けた基盤研究
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19K07452
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
小林 博也 旭川医科大学, 医学部, 教授 (90280867)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | エピトープ / ペプチド / ビメンチン / HLA / EMT / T cell |
Outline of Annual Research Achievements |
癌の上皮間葉転換 (EMT)に重要とされるビメンチンに着目して、アルゴリズム解析や過去の報告をもとに、HLAクラスⅡ分子に結合可能でT細胞応答を惹起しそうなペプチド配列を探索し合成した。またリン酸化に代表されるような翻訳後修飾部位があるかどうかに着目し、野生型ペプチドと供にリン酸化ペプチドも合成した。 複数の健常成人ボランティアから末梢血T細胞と樹状細胞を分離しペプチドで刺激共培養したところ、ビメンチンペプチドp28-49とp63-90の配列で有効なヘルパーT細胞反応を誘導することが出来た。更にこれらのビメンチンペプチドにおいて、リン酸化された翻訳後修飾を有する配列を用いても強力なT細胞応答を惹起することに成功した。T細胞は、ペプチド濃度依存性にTH1サイトカインであるインターフェロンγを旺盛に産生した。またこれらの反応性は抗HLAクラスⅡ抗体で抑制されるとともに、マウスL細胞にHLAクラスⅡ分子を発現させた抗原提示細胞によって反応が起きることから、HLAクラスⅡ分子を介して惹起されるヘルパーT細胞反応であることが確認された。提示HLAクラスⅡ抗原は、DR53やDR14など複数存在し、同定したビメンチンエピトープペプチドはpromiscuousであることが示唆された。 各種培養癌細胞株において、野生型ビメンチンとリン酸化ビメンチンタンパク質が発現しているかどうかを特異的抗体を用いたウエスタンブロットで検出を試みたところ、大腸癌、腎癌、肺癌、頭頸部扁平上皮癌、およびT細胞リンパ腫細胞株の一部に発現がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
標的ビメンチンペプチドに対するヘルパーT細胞応答を惹起することに成功し、かつリン酸化ペプチド抗原ぺプチドに対しても反応を誘導している。
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Strategy for Future Research Activity |
①腫瘍細胞株に対するT細胞応答を確認する。 ②手術材料パラフィン切片を用いて、リン酸化ビメンチンの発現を検討する。
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