2019 Fiscal Year Research-status Report
The stress hormone and carcinogenic potential
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19K07453
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三木 康宏 東北大学, 災害科学国際研究所, 講師 (50451521)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 子宮内膜癌 / 細胞老化 / KLF5 / アンドロゲン |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、Kruppel-like factor (KLF) ファミリーの細胞老化への関与が指摘されてきた。本研究でははじめに、データベース解析によりKLFファミリー(KLF1~KLF17)の子宮内膜癌と正常内膜との遺伝子発現の比較を行った。その結果、KLF2, 4, 6, 7, 8, 9, 11, 15の発現が内膜癌より正常内膜で有意に高く、KLF5のみが正常よりも癌で有意に高かった。子宮内膜癌組織におけるKLF5の免疫組織化学による発現解析では、子宮内膜癌組織中のコルチゾールやエストロゲン濃度とKLF5発現との関連は認められなかったが、アンドロゲン(テストステロン、ジヒドロテストステロン)との有意な正相関を認めた。さらに免疫組織化学にて評価したアンドロゲン受容体陽性群において有意にKLF5の発現が高かった。子宮内膜癌培養細胞IshikawaおよびMFE-296にジヒドロテストステロを添加することによって、KLF5のタンパクおよびmRNAレベルでの有意な増加を認めた。IshikawaおよびMFE-296にKFF5阻害剤(CID-591923およびML-263)を添加することで細胞増殖の抑制が認められた。また、子宮内膜癌培養細胞Ishikawaを用いた三次元培養モデルでの解析を行った。高分化型腺癌由来であるIshikawaは三次元培養によって、管腔様構造を形成した。KLF5阻害剤(ML-263)の添加によって、Ishikawaの管腔形成が低下し、E-cadherinのタンパクレベルでの低下が認められた。現在、KLF5と細胞老化マーカーとの関連を検討中である。さらに癌で低下する他のKLFファミリーの発現と老化との関連を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞老化とストレスホルモンであるコルチゾールに関連する因子を探索し、KLFファミリー、特に今年度はKLF5に着目して検討した。仮説としてのコルチゾールとKLF5との関連を見出すことはできなかったが、アンドロゲンとの関連を証明することができた。さらにin vitroの解析にて、KLF5の細胞増殖抑制と分化との関連を見出すことができた。このin vitro解析では3次元培養法を用いたあらたな形態解析を行うことができた。本研究成果は第24回日本生殖内分泌学会学術集会(2020年1月11日東京)にて発表した。当初計画ではウシ正常子宮内膜上皮細胞を用いた検討を計画だったが、細胞増殖が緩徐であるため年度内に成果を得ることができなかった。以上のことから、研究成果を鑑みて、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
KLF5と細胞老化マーカーとの関連を検討中である。さらに癌で低下する他のKLFファミリーの発現と老化との関連を検討する。またウシ正常子宮内膜BEnEpCを用い、KLFファミリーの作用を検討する。さらにコルチゾールとKLFファミリーとの関連性について、子宮内膜癌培養細胞やBEnEpCをもちいて検討する。 さらに当初計画であるストレスモデルマウスを用いた、子宮内膜上皮細胞の老化について検討する。その一環としてKLFファミリーについても発現を検討する。
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Causes of Carryover |
ウシ子宮内膜上皮細胞の増殖が想定していたよりも緩徐であり、RNAおよびタンパクの回収が困難だった。そのため当初予定であった細胞老化マーカー(PCRおよびウエスタンブロッティング)の発現解析やコメットアッセイに関する検討が途中となった。したがって、次年度に引き続きこれらの検討を行うための費用(消耗品)として繰り越した。翌年度はモデルマウスでの検討とヒト組織での解析に加え、上記ウシ子宮内膜上皮細胞を用いた解析を行う。
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Research Products
(4 results)