2023 Fiscal Year Annual Research Report
肺腺癌細胞においてミトコンドリアに局在するOCIAD2の機能的意義の検証
Project/Area Number |
19K07455
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
柴 綾 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (50708427)
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Project Period (FY) |
2021-01-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肺腺癌 / アポトーシス / ミトコンドリア / OCIAD2 |
Outline of Annual Research Achievements |
OCIAD2は浸潤性肺腺癌において過剰発現している遺伝子であり、正常肺では発現がないため非常に腫瘍特異性が高い。高発現群は低発現群に比べて有意に予後不良であり、肺腺癌の悪性化において何らかの機能を持つことが示唆される。本研究ではOCIAD2のミトコンドリアにおける機能に焦点を絞り、OCIAD2を発現抑制した肺腺癌細胞を用いて増殖やアポトーシスに与える影響をin vitroで解析した。 昨年度までにOCIAD2がミトコンドリア膜電位の維持に寄与しアポトーシスを抑制している可能性が示唆されていた。OCIAD2をノックダウンした肺腺癌細胞をサンプルとしたRNA-seqの結果、OCIAD2がpro-apoptotic initiator, cell cycle, ER stressなどに係る遺伝子を制御している可能性が示され、今年度はOCIAD2がその機能を発揮するべく細胞内で結合している因子を探索した。FlagタグOCIAD2を複数の肺腺癌細胞株に導入し、pull-down assayとLC-MS/MS解析を実施し、結合因子を網羅的に同定した。その結果、252種のタンパク質が選別され、そのうち220タンパク質がミトコンドリア関連因子であった。その中でもAKAP1, CYB5R3, MGST1, and VDAC1の4種については肺腺癌細胞で内因性タンパク質レベルでも結合していることを確認した。特にVDAC1は蛍光免疫染色によりOCIAD2と共局在し、両者の発現量は負に相関した。OCIAD2をノックダウンするとVDAC1の発現が低下し、この結果からOCIAD2はミトコンドリア外膜に局在するゲートキーパーであるVDAC1タンパク質の機能を抑制し、チトクロームcの流出を抑止している可能性が示唆された。
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