2022 Fiscal Year Annual Research Report
腎細胞癌の個別化医療推進を目的とした分子標的薬による癌微小環境再構築の解析
Project/Area Number |
19K07468
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Research Institution | National Hospital Organization Saitama National Hospital |
Principal Investigator |
三上 修治 独立行政法人国立病院機構埼玉病院(臨床研究部), 診療部, 病理診断部長 (20338180)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 隆一 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (60383824)
田中 伸之 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (60445244)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 腎細胞癌 / 分子標的治療 / 免疫微小環境 / カボサンチニブ |
Outline of Annual Research Achievements |
[背景]新しく開発された血管内皮増殖因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤(VEGFR-TKI)であるカボザンチニブは、進行性腎細胞癌患者の治療に有効であることが知られている。しかし、なぜカボザンチニブが他の薬剤と比較して腎細胞癌患者により有効であるかを説明できる分子メカニズムは完全には解明されていない。 [方法]カボザンチニブはVEGFRに加えてGAS6, AXLおよびc-METも阻害するため、原発性淡明細胞型腎細胞癌110症例および代表的なVEGFR-TKIであるスニチニブ治療後の淡明細胞型腎細胞癌8例を対象にこれらの分子発現を免疫組織学的に検討した。 [結果]AXL/GAS6スコアは淡明細胞型腎細胞癌の有意な予後予測因子であることが判明した。また、AXL発現レベルは病期(pT)と相関し、c-MET発現レベルは遠隔転移(pM)、組織学的異型度および全生存率と相関していた。さらにc-MET発現レベルは腫瘍組織内に浸潤している免疫細胞におけるprogrammed cell death-ligand 1(PD-L1)発現と正の相関を示した。ゲノム突然変異分析とメチル化アレイ解析によりAXL/GAS6スコアが腫瘍の免疫抑制環境に関連していることも明らかとなった。さらにスニチニブ治療後の淡明細胞型腎細胞癌は未治療症例に比べ、AXLおよびc-MET発現が増加していた。 [考察]これらの結果から、AXL, GAS6およびc-MET発現が淡明細胞型腎細胞癌の進行とスニチニブへの治療耐性に重要な役割を果たしていることが示唆された。特にc-METは腫瘍組織内の免疫細胞におけるPD-L1発現を誘導することにより免疫微小環境を抑制している可能性が高い。即ち、これらの分子経路がカボザンチニブに対する治療効果に関連していると考えられる。
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Research Products
(20 results)
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[Presentation] 淡明型腎細胞癌における三次リンパ様構造(TLS)の臨床的意義 膀胱癌との比較検討2022
Author(s)
桝田 司, 田中 伸之, 箱崎 恭平, 高松 公晴, 安永 洋太, 武田 利和, 松本 一宏, 森田 伸也, 小坂 威雄, 水野 隆一, 浅沼 宏, 三上 修治, 中川 健, 大家 基嗣
Organizer
日本癌治療学会学術集会
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[Presentation] 筋層非浸潤膀胱がんの診断から治療-オーバービューから最新のトピックス- 筋層非浸潤性尿路上皮癌における分子サブタイプ別進展メカニズムの解明(2022
Author(s)
茂田 啓介, 松本 一宏, 三上 修治, 安水 洋太, 田中 伸之, 武田 利和, 森田 伸也, 小坂 威雄, 水野 隆一, 浅沼 宏, 菊地 栄次, 大家 基嗣
Organizer
日本癌治療学会学術集会
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