2019 Fiscal Year Research-status Report
末梢虚血・再還流刺激による新たな肝ATP産生調節機構の解明と糖尿病治療への展開
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19K07483
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
倉林 睦 高知大学, 教育研究部医療学系連携医学部門, 准教授 (40346713)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柿沼 由彦 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (40233944)
井上 啓史 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 教授 (00294827)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | エネルギー産生 / 糖代謝 / 肝臓 / クエン酸回路 / 解糖系 / 副交感神経 / 虚血再灌流モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
後肢虚血・再潅流刺激(IR)は、副交感神経系の興奮を介して、肝における糖新生の抑制と糖取り込み亢進により血糖低下をもたらすことで、糖尿病マウスの高血糖を減弱させるが、肝におけるエネルギ-代謝を制御するかは不明である。そこで、C57BL wild typeマウスに対してstreptozotocinにより誘発した1型糖尿病マウスを用いて、IRによる肝でのエネルギー産生への影響に関して検討をおこなった。 IR(イソフルランで麻酔後、3分結紮・3分解除を3回施行:予備実験による)はこのマウスにおいて、血中ケトン体濃度を低下させることは予備実験で明らかとなっている。本年度は肝におけるpyruvate dehydrogenase kinase-4 (PDK-4)および糖代謝・ATP産生に関係するサーチュインファミリー(Sirt1,6)およびPGC-1 (PPARγcoactivator-1)の発現の変化をウエスタンブロットで検討した。 その結果、IR群の肝ではControl群(非IR施行群)に比較して、Sirt1の発現の亢進がみられる一方で、遊離脂肪酸代謝に関与することが知られているPGC-1の発現は抑制されていた。また、有意差は得られなかったが、PDHを阻害するPDK-4の発現がIRにより抑制される傾向がみられた。 これらの結果は、IRは肝において糖取り込みを促進するのみならず、この糖を利用した解糖系の亢進、さらに能動的にクエン酸回路を回転させることで、グルコースを基質としたATP産生促進を促進するという我々の仮説に矛盾しない結果と考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調書作成時に推測した当初の仮説のとおりの結果が得られており、進捗状況も令和1年度に予定していた通りに、研究も推移している 。以上より、概ね順調に推移していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点で、本研究の計画を立てた際の仮説はほぼ肯定される結果が出ている。今後も、当初の予定の通り、研究を遂行する。 したがって、R2年度以降は、肝における、解糖系からPDHの活性化を介したクエン酸回路の促進(フマル酸の産生量の変化、アコニターゼの活性の変化等の測定)、これに伴うATP産生の亢進の確認(ATP産生量の測定)、血中遊離脂肪酸の変化など、IRが全身にもたらすATP産生・糖代謝の変化を中心に検討することが主な内容となる。これらの研究遂行の際に行う予定としている手技としては、ウエスタンブロッティングやELISAなど、いずれの実験 手技もすでに多数の論文で施行されている確立された手法であり、市販のキットなども活用し、問題なく遂行できるものと考える。
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Causes of Carryover |
本年度に関しては、初年度であり、解析すべきデータもまだ少なく、データ解析担当分担者使用予算における次年度使用額が生じた。次年度はデータも概ね出そろう予定であり、予定通りの使用額に達するものと考える。
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Research Products
(3 results)