2020 Fiscal Year Research-status Report
自己反応性Th17ヘルパーT細胞の長期生存機構の解析
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19K07488
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
竹馬 俊介 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (50437208)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 自己免疫疾患 / ヘルパーT細胞 / 慢性炎症 / メモリーT細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
乾癬、リウマチ性関節炎、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症といった自己免疫疾患は近年増加の一途をたどり、この病態解明は社会的に緊急かつ重要な課題である。自己免疫疾患の多くは、自己反応性のIL-17産生性ヘルパーT細胞(Th17)が関与するが、Th17が他のヘルパーT細胞に比べて、体内で長期生存するメカニズムは知られていない。本研究では、自己反応性Th17を試験管内で誘導し、これを移入したマウスを解析することを通じ、Th17の長期生存機構を明らかにしようと試みている。 昨年度までに、自己反応性TCRトランスジェニックマウスのCD4陽性T細胞より、T細胞レセプター(TCR)刺激、および炎症性サイトカインの存在下で、病原性のTh17を誘導する方法を確立している。本年度は、この細胞をマウスに移入し、自己免疫疾患を惹起する実験系で、実際に病原性のTh17が長期生存するメカニズムを解析した。その結果、(1) 自己反応性Th17は、内在性のT細胞が減少した、いわゆるlymphopeniaの状態でもっとも良く生存する事、 (2) lymphopeniaにおいては、自己反応性T細胞の増殖を伴う数の維持が行われる事、(3) 既存の免疫抑制剤が、この増殖抑制を行い、自己免疫症状の発症を抑制状態に保つこと (4)しかしながら、そのような抑制状態でも、自己反応性Th17は体内で長期生存し、免疫抑制剤の投与中止に伴い、再び活性化して自己免疫疾患の発症に貢献する事、を見出した。 これらの結果より、自己反応性Th17の生存を、マウス体内で長期間にわたり観察する実験系を立ち上げられたと考える。自己反応性Th17を根本的に除去することができれば、ヒト自己免疫疾患の、免疫抑制剤による寛解導入後の再発を防ぐことができると考え、今後は現在のモデルを用い、そのような治療法を追及する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自己反応性Th17が体内で少なくとも数か月生存する、従来に無い慢性炎症モデルを確立できたと考えるため。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通り、自己反応性Th17の生存機構を解析し、これをターゲットとした治療法を追求する。
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Causes of Carryover |
交付額の1/100程度の未使用額が生じたが、効率的な物品調達を行った結果であり、基金の特性を踏まえて次年度に使用することとした。
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Research Products
(3 results)