2019 Fiscal Year Research-status Report
インドールアミン酸素添加酵素2が糖尿病発症に与える影響
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19K07490
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
山本 康子 藤田医科大学, 保健学研究科, 准教授 (00331869)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤垣 英嗣 藤田医科大学, 保健学研究科, 講師 (00612631)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | IDO2 / 糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
生活習慣の変化による肥満率の増加は、生活習慣病の発症に深くかかわる因子である。また脂肪の蓄積による慢性炎症が生活習慣病に共通した基盤病態として注目を集めている。我々はこれまでにインドールアミン酸素添加酵素2 (Indoleamine 2,3-dioxygenase 2; IDO2)がマクロファージ内の炎症抑制に重要な役割を果たす事を明らかにしている。そこで本研究では糖尿病モデルマウスおよび臨床サンプルを用いた解析により、慢性炎症を起点とした糖尿病の発症にIDO2遺伝子が与える影響について検討を行う。またIDO2遺伝子変異が糖尿病発症のリスク因子になりうるかを明らかにする。 本年度は、野生型マウスおよびIDO2遺伝子欠損マウスに脂肪含量32%の高脂肪食を負荷し、体重変化、餌持量を経時的に観察し、IDO2遺伝子欠損マウスにおける高脂肪食負荷の影響を検討した。IDO2遺伝子欠損マウスでは、高脂肪食負荷後4週目で体重、肝重量が野生型マウスと比較して有意に増加した。また血液生化学検査では空腹時血糖、コレステロール、ALTの有意な上昇が見られた。さらに血糖負荷試験ではインスリン抵抗性の増加が認められた。皮下脂肪のHE染色では脂肪細胞径の増大が著しく認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動物モデルを用いた検討により、IDO2欠失が糖尿病の発症に深く関与する結果が得られいるため、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、引き続きIDO2が慢性炎症を起点とした糖尿病の発症におよぼす影響について下記の検討を行う。またIDO2遺伝子変異が糖尿病発症のリスク因子になりうるかを明らかにする。 (1)IDO2遺伝子欠損マウスにおける高脂肪食負荷の影響。肝臓、脂肪組織からmRNAの抽出を行い、コレステロールの生合成および血糖の取り込みや代謝に関与する各種遺伝子の発現について検討を行う。またIDO1遺伝子欠損マウスについても同様の検討を行い、IDO2に認められる所見と比較検討を行い、アイソファーム間での病態への関与の違いを明らかにする。 (2)IDO2遺伝子欠損マウスにおけるマクロファージの機能解析。脂肪の蓄積により誘発される炎症にマクロファージが重要な役割を果たしている事が知られている。IDO2は、これまでの検討からマクロファージに発現が認められている事、また炎症反応の抑制に重要な役割を果たしている事が明らかとなっている。そこで、高脂肪食負荷時における、マクロファージ内IDO2発現の影響について検討を行う。 (3)IDO2遺伝子欠損が腸内細菌業に与える影響。食習慣および遺伝子変異による腸内細菌業の変化が、様々な生活習慣病や精神疾患の発症に関与する事が報告されている。そこで、IDO2遺伝子欠損マウスの腸内細菌業を野生型マウスと比較検討する。また高脂肪食の負荷が腸内細菌業に与える影響について明らかにする。
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Causes of Carryover |
部位特異的遺伝子欠損マウスを用いた解析のための予算であったが、動物の繁殖により予定の匹数が確保出来なかったため、本年度に持ち越しとなった。本年度中に匹数が確保され次第、検討を行う予定である。
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