2019 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of physiological roles of the gateway reflex
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19K07496
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
上村 大輔 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 講師 (20391922)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ゲートウェイ反射 |
Outline of Annual Research Achievements |
地球の重力は、生物にとって避けられない刺激であり、進化的にも保存された何らかの生体応答機構が存在する可能性が高く、それらを解明することは重要な意義をもっている。我々は、重力からの神経刺激が、免疫細胞の中枢神経系への侵入口を形成させることを報告している。本研究では、重力刺激を変化させた際の生体反応を解析し、重力がどのように生体反応に関与するのかを解明することを目的とした。 中枢神経系(CNS)である脳や脊髄の血管は、血液脳関門で保護されている。しかし、CNSにも細菌やウイルスが感染したり、免疫細胞が侵入して生じる難病も発症する。こうした背景から、病原体や免疫細胞などがCNSに入りやすい侵入口(ゲート)がある可能性が考えられてきた。しかし、その実体は不明だった。我々は、2012年にCNSの慢性炎症疾患である多発性硬化症のマウスモデルを用いて、免疫細胞のゲート部位とその形成機構を調べ、第5腰髄の背側の血管が定常時のゲートであることを報告した。ある環境刺激(この場合は重力)に対する特異的な神経刺激が、局所血管の性質を変化させて炎症を誘導しやすくする現象は、現在、「ゲートウェイ反射」として知られている。地球上ではマウスの尾部懸垂実験によって重力の関与を示唆できるが、完全な証明にはならない。そこで、宇宙航空研究開発機構との共同研究によって国際宇宙ステーションを利用した宇宙実験を実施した。マウスは約1ヶ月間の微小重力下で飼育された。これによって、第5腰髄の背側血管ゲートがどのように変化するのかを検討した。その結果、期待通りに、微小重力下では重力ゲートウェイ反射は効率よく誘導されず、第5腰髄の炎症が抑制されることがわかった。今後、血管ゲートが消失したのか、それとも他の部位に移動したのかを検討する。これらの成果は、第48回日本免疫学会学術集会などで発表した。
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Research Products
(2 results)