2019 Fiscal Year Research-status Report
Cell damage suppression mechanism via cell polarity control by a novel inflammatory response signal pathway
Project/Area Number |
19K07505
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
堀越 洋輔 鳥取大学, 医学部, 助教 (60448678)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | aPKC / 細胞極性 / 上皮バリア / タイトジャンクション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、「上皮バリア機能の破綻を伴う急性肝障害が、新規炎症応答を介した細胞極性制御因子 aPKC の活性により抑制されるか」、 明らかとすることを目的する。 最近、aPKC の活性化は、カルシウム除去により 誘導される培養上皮細胞のTJの消失(破壊)を抑制することを見出し、aPKCの活性制御が上被細胞のTJの制御に重要であると考えられた。aPKCは炎症を主体とした酸化ストレス刺激によって活性化されることをこれまでに報告している(Am J Pathol. 2015, 185:958-68.)。 本年度の解析から、酸化ストレス刺激であるAMVNを低濃度で処理した時、カルシウム除去により誘導される上皮細胞のTJの消失(破壊)が抑制された。この効果は、低濃度のLPS刺激によっても確認された。また、低濃度のLPS刺激によるTJの消失(破壊)抑制効果は、インフラマソームの活性化阻害剤であるカスパーゼ1阻害剤の処理によりその効果が失われた。インフラマソームの活性化はIL-1βの成熟化を起こす。精製標品のIL-1βを処理した上皮細胞においては、同様にTJの消失(破壊)が抑制された。また、低容量のAMVN、LPS処理は、aPKCの活性化を誘導していた。さらに、インフラマソームの活性化について免疫組織化学により検討した。その結果、ASCの細胞内への凝集が観察された。また、ウェスタンブロッティング法による解析から、AMVN、LPS刺激によりNLRP3、カスパーゼ1、IL-1βの発現上昇が確認された。現在、上皮バリア機能の破綻を伴う急性肝障害、炎症性腸疾患モデルマウスを用いて、障害誘導前にLPS投与し、それら障害が抑制されるか検討中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究進行状況を以下に示す。 ① 脂溶性ラジカル発生剤であるAMVN(アゾ化合物)や、LPSは、aPKC (atypical protein kinase C) の活性化を誘導した。 ②培養上皮細胞の培地中カルシウム除去によって誘導されるタイトジャンクション(TJ)は消失する。この TJ の消失(破壊)は、低容量 LPSや低容量AMVNの前処理によって抑制された。この時、NLRP3、カスパーゼ1、IL-1βの発現上昇が確認された。また、これら効果は、インフラマソーム活性化阻害剤であるカスパーゼ1阻害剤の処理によりキャンセルされた。 ③インフラマソームの活性化について免疫組織化学により検討した。その結果、TJの消失(破壊)が抑制された細胞群ではインフラマソームの活性化時に観察されるASCの細胞内への凝集が観察された。また、ウェスタンブロッティング法による解析から、AMVN、LPS刺激によりNLRP3、カスパーゼ1、IL-1βの発現上昇が確認された。 ④上皮細胞のTJ形成に対する作用についても検討を加えた。その結果、低容量AMVN、LPS処理は、TJ形成を促進することが明らかとなった。現在、aPKCの活性変化やaPKCを含む Par-3、Par-6 三者複合体形成に対する作用について検討中である。 以上の結果より、弱い酸化ストレス刺激によるaPKCの活性化は、上皮細胞のTJの消失(破壊)を抑制し上皮バリア機能の強化あるいは安定化を引き起こすことが明らかとなった。また、安定化だけではなく、TJ形成を促進したことから、上皮バリアの再形成(修復)においても働くことが示唆された。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度の解析から、酸化ストレス刺激であるAMVNを低濃度で処理した時、カルシウム除去により誘導される上皮細胞のTJの消失(破壊)が抑制された。この効果は、低濃度のLPS刺激によっても確認された。また、低濃度のLPS刺激によるTJの消失(破壊)抑制効果は、インフラマソームの活性化阻害剤であるカスパーゼ1阻害剤の処理によりその効果が失われた。インフラマソームの活性化はIL-1βの成熟化を起こす。精製標品のIL-1βを処理した上皮細胞においては、同様にTJの消失(破壊)が抑制された。また、低容量のAMVN、LPS処理は、aPKCの活性化を誘導していた。さらに、インフラマソームの活性化について免疫組織化学により検討した。その結果、ASCの細胞内への凝集が観察された。また、ウェスタンブロッティング法による解析から、AMVN、LPS刺激によりNLRP3、カスパーゼ1、IL-1βの発現上昇が確認された。現在、上皮バリア機能の破綻を伴う急性肝障害、炎症性腸疾患モデルマウスを用いて、障害誘導前にLPS投与し、それら障害が抑制されるか検討中である。
|
Causes of Carryover |
年度末の会計調整の過程で差額が生じたため。
|
Research Products
(7 results)