2022 Fiscal Year Research-status Report
癌を選択的に抑制しかつ心機能を改善するKLF5阻害薬の開発とその分子作用機序解明
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19K07512
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
仲矢 丈雄 自治医科大学, 医学部, 准教授 (80512277)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永井 良三 自治医科大学, 医学部, 学長 (60207975)
相澤 健一 自治医科大学, 医学部, 准教授 (70436484)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | KLF5 / 天然変性蛋白 / undruggable / がん分子創薬 / 蛋白間相互作用阻害薬 / 大腸癌 / induced helical motif |
Outline of Annual Research Achievements |
私達は転写因子KLF5が大腸癌の形成に必須の因子であることを解明した。ここから、KLF5は癌治療の有力な標的分子と考えられた。しかし、転写因子KLF5は、3次元立体構造を解くことのできない天然変性蛋白であるため、立体構造に基づく阻害薬開発ができない。また、核内因子であるため作用する化合物は核内に到達する低分子化合物でなければならない。これらの困難を克服するため、私達は新しい分子創薬を行った。私達は、KLF5蛋白のアミノ酸配列から、蛋白間相互作用をするとαヘリックス構造をとるようになる領域としてVAIFを予測した。側鎖構造がVAIFに類似し、中心にbicyclic pyrazinooxadiazine-4,7-dioneを持つαヘリックス構造を模した低分子化合物(NC化合物)を開発合成した。NC化合物は、正常細胞を傷害せずヒト大腸癌細胞の生存と増殖を選択的に抑制した。ヌードマウスの皮下に移植した大腸癌細胞の腫瘍は、NC化合物の腹腔投与により抑制され、明らかな副作用を見いだせなかった。さらにNC化合物はWntシグナル系因子、KLF5蛋白を抑制した。私達のアプローチは重要な天然変性蛋白に対する新たな分子創薬法を拓くと考えられる。(Nakaya, et al., ACS Medicinal Chemistry Letters, 2022に発表、特許出願)その後、化合物の物性の改善、新たな創薬展開などを進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度に、創薬困難であったKLF5に対し、新たなアプローチで創薬が行えることを示し、論文発表、特許出願を行った。ただ、NC化合物の他の薬効、さらなる分子作用機構の解明は現在継続中であり、論文発表等できるよう研究を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
NC化合物の抗腫瘍能発揮に関し、さらなる分子作用機構について解明を進める。また、KLF5蛋白中のNC114等と異なる他の領域の模倣化合物等について研究を進める。KLF5蛋白中のNC114等以外の他の領域の模倣化合物も、NC114等と同様に、正常細胞を傷害せず、癌細胞を選択的に抑制するなどを見出している(未発表)。ここから、この化合物に関して、NC114と比較しながら、抗腫瘍能発揮の分子作用機構の詳細な解明を行う。 これらに関し、さらに研究を進め、論文発表等行うようにする。
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Causes of Carryover |
さらに、NC化合物の分子機能、薬効について研究を継続する必要が出てきたため。KLF5蛋白中のNC114等以外の他の領域の模倣化合物も、NC114等と同様に、正常細胞を傷害せず、癌細胞を選択的に抑制するなどを見出した(未発表)。ここから、この化合物に関して、NC114と比較しながら、抗腫瘍能発揮の分子作用機構の詳細な解明を行う。 これらに関し、さらに研究を進め、論文発表等行うようにする。このため、消耗品購入などに次年度使用の必要が生じた。
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Research Products
(1 results)