2019 Fiscal Year Research-status Report
Treatment of trauma induced coagulopathy with H12-ADP-liposome
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19K07517
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
萩沢 康介 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 生理学, 助教 (50539244)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武岡 真司 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20222094)
石田 治 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 病院 外科, 講師 (20365266)
宮崎 裕美 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 防衛医学研究センター 外傷研究部門, 助教 (30531636)
木下 学 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 免疫・微生物学, 准教授 (70531391)
佐藤 俊一 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 防衛医学研究センター 生体情報・治療システム研究部門, 教授 (90502906)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 凝固障害 / 外傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
外傷にはしばしば凝固障害が合併する。すなわち全身性の炎症反応から血管内皮傷害を生じ、凝固亢進と線溶亢進のいずれかまたは両者の亢進が生じるとされているが、不明な点も多い。これに対して血小板輸血は凝固障害が進展し出血症状が生じた場合に適応となるものの、血小板は2次的にサイトカインやDAMPsを分泌し炎症を拡大させる可能性がある。 我々が開発している血小板代替リポソームであるH12-(ADP)-リポソームは受傷後に血小板が集積している部位への標的性をもっている。そこで放出されたADPは血小板膜上のP2Y12受容体を介して血小板機能を賦活し、ADPの一部はただちに細胞外で代謝されアデノシンとなり抗炎症作用を発揮する複合的な効果を有する。 本研究は凝固障害の早期にH12-(ADP)-リポソームを投与して、血小板からの炎症惹起物質の放出を抑え、血管内皮傷害を防止し、血小板機能を回復させ、凝固障害の病態制御の新たな局面を切り開こうとするものである。 本年度はラットに対してリポポリサッカライド(LPS)10mg/kgを腹腔内投与し、8時間後にはSonoclotシステムによる血液凝固機能ならびにMultiplateシステムによる血小板凝集機能のいずれもが有意に低下することを確認した。さらに本モデルに対してH12-(ADP)-リポソームをLPS腹腔内投与の4時間後に静脈内投与すると、血液凝固機能ならびに血小板凝集機能の指標が改善することを確認した。同時に敗血症性ショックの指標の一つである血中乳酸値やTNF濃度の上昇もH12-(ADP)-リポソームにより抑制されることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
外傷性凝固障害について、血液凝固機能、血小板凝集機能、全身炎症評価ならびに肺・腎臓・肝臓等の臓器障害を総合的かつ定量的に評価する実験系を確立し、H12-(ADP)-リポソームがそれらの改善・軽減に有効であることを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
頭部外傷による血液凝固機能、血小板凝集機能、全身炎症評価ならびに肺・腎臓・肝臓等の臓器障害について、頭部外傷の強度条件により変化や経時的変化について明らかにし、H12-(ADP)-リポソーム投与がそれらにどのように影響するかを明らかにしていく計画である。
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Causes of Carryover |
H12-(ADP)-リポソーム合成に遅延が生じ、一部の試薬の購入が不要となったため
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