2019 Fiscal Year Research-status Report
Notchシグナルによるヒト骨格筋前駆細胞の増殖・分化制御機構の解明
Project/Area Number |
19K07519
|
Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
鈴木 友子 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 遺伝子疾患治療研究部, 室長 (00342931)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹村 英子 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 遺伝子疾患治療研究部, 流動研究員 (80790485)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | プロスタグランジンE2 / 筋前駆細胞 / 自己複製 / EP2 / Notchシグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
NOTCHシグナルの活性化が骨格筋幹細胞の自己複製に重要であることが報告されている(Cell reports 30, 1491, 2020)。我々は4つあるプロスタグランジンE2のレセプター(EP1-EP4)の一つ、EP2がNOTCHシグナルの下流で活性化され、筋前駆細胞の自己複製を促進することをヒト骨格筋前駆細胞を用いて明らかにした。さらにEP2のシグナルはプロスタグランジンE2の産生レベルではなく、主にEP2の発現レベルによって制御されている可能性を遺伝子過剰発現実験とshRNAによるノックダウンの実験で示した。多くの細胞種においてEP2の下流でアデニル酸シクラーゼ(AC)/cAMP/プロテインキナーゼA(PKA)シグナル伝達経路が働いていることが知られているが、骨格筋前駆細胞においてはAC/cAMP/PKAシグナル伝達経路はその自己複製の制御には関与していないことも特異的阻害剤や活性化剤による検討によって明らかにした。これらの結果は論文として発表した(Sakai-Takemura et al., Communications Biology, 3, 182, 2020)。EP2の働きをin vivoで詳しく解析するために、PAX7-CreERT2マウスとEP2floxマウスを入手し、その交配を開始した。タモキシフェン投与により、骨格筋組織幹細胞である筋衛星細胞特異的にEP2遺伝子を破壊して、筋衛星細胞の増殖・分化・自己複製におけるEP2の働きを解析する予定である。また老化に伴う筋萎縮におけるEP2の働きも併せて解析する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画とは異なり、EP2の筋前駆細胞に対する効果をin vitroにて解析したが、十分な治験が得られ、論文を発表できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
骨格筋組織幹細胞である筋衛星細胞におけるEP2の機能を詳しく解析するためにPAX7-CreERT2マウスとEP2floxマウスを入手し、その交配を開始した。タモキシフェン投与により、筋衛星細胞特異的にEP2遺伝子を破壊できるマウスを作出する予定である。マウス個体が十分数得られたら、いろいろなタイミングでタモキシフェン投与を投与し、筋の成長、筋再生、幹細胞の自己複製、老化における筋量の維持機構におけるEP2の役割を解析する予定である。
|
Causes of Carryover |
2019年度に支出を予定していた論文投稿費であるが、論文が受理される時期が遅れ、2020年度にずれ込みその予定額が残った(約38万)。更に新型コロナ肺炎により3月に予定されていた再生医療学会が2020年5月にWEB開催され、この予算(旅費)が2019年度には使用されなかった(2万円)。これらは2020年度に同じ目的で使用される予定である。
|