2019 Fiscal Year Research-status Report
メトホルミンによる抗マラリア免疫記憶の増強とそのメカニズムの解明
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19K07524
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
都田 真奈 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 教授 (30398151)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | マラリア / 免疫 / メトホルミン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、メトホルミンがマラリア原虫感染に対するT細胞の活性化、免疫記憶形成、二次応答を増強する可能性とその作用機序を明らかにすることを目的とし、昨年度は、以下のことを試みた。 (1)C57BL/6マウスにマラリア原虫(Plasmodium chabaudi chabaudi)を感染させ、半数のマウスにはメトホルミンを飲水に溶解することで継続投与した(メトホルミン投与マウス)。メトホルミン非投与マウスの原虫血症は、感染8日目に約35%でピークに達し、12日目には1%以下まで低下したが、16日目には再度10%まで上昇し、20日には0.02%まで低下し、二峰性を示した。一方、メトホルミン投与マウスの原虫血症は、12日目までは非投与マウスと変わらなかったが、それ以降は上昇がほとんど見られなかった。 (2)獲得免疫、免疫記憶形成に対するメトホルミンの効果を調べるために、マラリア原虫(Plasmodium yoelii 17XNL)を感染させ、6、12、18日に脾細胞を回収し、その中のCD4+T細胞とCD8+T細胞の活性化についてCD11a、CD49d、CD44、CD62Lの発現についてフローサイトメトリーを用いて調べた。CD4+T細胞をCD8+T細胞の絶対数はメトホルミン投与の有無で違いはなかったが、抗原特異的活性化細胞であるCD11ahi、CD49dhiCD4T細胞およびCD11ahi、CD8aloCD8Tの割合は感染18日目で有為に増加した。CD62Lhi CD44hiのセントラルメモリー型T細胞やCD62Llo CD44hiのエフェクター型およびエフェクターメモリ型T細胞の割合には違いがなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
学部を異動し研究室を新たに立ち上げたため、研究環境を整えるのに時間を要した。 全ての学生が新規に研究に従事するため、研究従事者登録、手技の伝授に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)Pcc感染後の原虫血上昇の前半のピークと後半のピークどちらの時期のメトホルミン投与が、後半のピークの感染率低下の原因であるのかメトホルミン投与時期を制限することで明らかにする。また前半の感染ピーク時、最初の感染ピークからの回復直後、後半の感染ピーク時の3時点でT細胞の活性化、エフェクターおよび記憶細胞分化、サイトカイン産生能を解析する。 (2)初感染時にメトホルミン投与していたマウスの方が再感染に対する防御能が高かった。この結果からメトホルミンが免疫記憶形成に促進的に働いたとう予想された。しかし、免疫記憶亢進が、メトホルミン投与により初感染時の原虫暴露時間が短縮されたためであるのか、あるいはメトホルミンが直接免疫記憶形成に影響を及ぼしたのか明らかではない。このことを明らかにするために、後半の感染ピークに、クロロキンとサルファジアジンで原虫を完全に殺傷、排除することで原虫量や暴露時間を同一条件にして、メトホルミンの再感染防御へ影響を検討する。さらに記憶細胞サイトカイン産生能および二次応答時のT細胞の活性化、増殖、サイトカイン産生能を解析する。
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Research Products
(1 results)