2021 Fiscal Year Research-status Report
原虫における小胞体シグナルペプチドに依存しない新規分泌メカニズムの解明
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19K07531
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
中野 由美子 (斉藤由美子) 国立感染症研究所, 寄生動物部, 主任研究官 (30321764)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Rab GTPase / Arf GTPase / Plasmodium / メンブレントラフィック |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度までの解析で、N末端にミリストイル化修飾を受けるPfArf1 GTPaseは、ミリストイル化修飾を有するadenylate kinase 2 (AK2)の細胞外への輸送に関与していることを、GTP型あるいはGDP型のPfArf1を発現させて証明した。今年度は、PfArf1による細胞外タンパク質の輸送がシグナルペプチドを有する輸送タンパク質には影響がないことを確認した。マラリア原虫の赤血球に輸送されるタンパク質にはシグナルペプチドの下流にPEXEL (plasmodium export element) モチーフを有する。その1つのPEXELタンパク質であるRifin (PlasmoDB accession number, PFA0745w) のPEXEL領域の直後にRFPを融合させたfusion タンパク質の輸送がPfArf1に調節されているかどうかを検討した。その結果、Rifin-RFP の感染赤血球への輸送は、GDP型PfArf1と共発現させることにより、原虫細胞内へと蓄積した。また、PfArf1と同様にPfRab5b結合タンパク質として単離されているPfRab1bのGDP型を発現させた場合でも、Rifin-RFPの細胞外への輸送は阻害された。令和2年度に得られた結果である、「PfArf1はAK2の輸送を阻害するがPfRab1bの輸送は阻害しない」また、「PfArf1はPfRab1bよりも、よりBipに近接した領域に存在する」ことを考慮すると、以下のメカニズムの存在が考えられた。小胞体近傍に局在するPfRab5bがエフェクターを介してPfArf1を活性化し、AK2の詰め込みと寄生胞膜への輸送を担う。その後PfArf1が局在する膜は成熟しPfRab1bと相互作用する。最後にPfRab1bは小胞体から輸送されたRifinをゴルジ体へと輸送する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マラリア原虫における輸送経路のメカニズムをRab GTPaseとArf GTPaseの詳細な役割分担を解明することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
マラリア原虫における輸送経路のRab GTPaseとArf GTPaseの機能を繋ぐ上で重要な エフェクター分子の解析を推進する必要がある。
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Causes of Carryover |
新型コロナ対策のため、予定していた出張と学会がキャンセルされたため。
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