2019 Fiscal Year Research-status Report
Cholix 毒素の致死性肝炎発症機構におけるエキソソームmiRNAの機能解析
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19K07534
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
八尋 錦之助 千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (80345024)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ADP-リボシル化毒素 / 細胞死 / エキソソーム / miRNA / マイクロアレイ |
Outline of Annual Research Achievements |
コレラ菌由来外毒素Cholix toxin (Cholix) は、N末側に宿主認識領域、C末側に毒性発現領域を持つ蛋白毒素である。宿主細胞内に侵入後、eEF2をADP-リボシル化し、タンパク質合成阻害活性に起因するアポトーシスを引き起こす。申請者は、本毒素が ① 標的臓器として肝臓を特異的に認識し致死性肝炎を誘導すること、② マクロファージ由来の炎症性サイトカインTNF-αと相乗的に細胞致死を亢進させることを見出した。 本毒素は、細胞致死活性を有し、且つ、マウスに対して致死性肝炎を起こす。コレラ毒素と相乗的に作用することで、感染症状の重篤化する因子として注目されている。エキソソームは、細胞外へ放出される小胞体である。この中には、mRNA, miRNAといった分子が含まれ、これらが近傍或いは遠方の細胞に取り込まれ細胞内のシグナルに影響し、癌の悪性化、神経疾患の伝播に関与することが判明している。又、疾患特異的な分子を含んでいることから、バイオマーカーとしても注目されている。 本毒素による致死性肝炎を誘導された細胞が、死に至る過程で分泌するエキソソーム中には、これまで見出されていない細胞の最後の細胞間コミュニケーション因子或いは、細胞致死亢進因子、新規な肝炎バイオマーカーなどが含まれていると期待している。また、本毒素のタンパク質合成阻害活性にmiRNAも関与しているのではないかと推察している。そこで、細胞致死に至る過程で分泌されるエキソソーム内の miRNA や、細胞内のmRNAの変化を明らかにし、その機能解析を介して、細胞死亢進分子、致死過程特異的なコミュニケーション分子を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コレラ菌由来外毒素Cholix toxin (Cholix) は、N末側に宿主認識領域、C末側に毒性発現領域を持つ蛋白毒素である。宿主細胞内に侵入後、eEF2をADP-リボシル化し、タンパク質合成阻害活性に起因するアポトーシスを引き起こす。申請者は、本毒素が ① 標的臓器として肝臓を特異的に認識し致死性肝炎を誘導すること、② マクロファージ由来の炎症性サイトカインTNF-αと相乗的に細胞致死を亢進させることを見出した。 本年度は、ヒト由来不死化正常肝臓細胞を用いて、細胞致死に至る過程で放出されるエキソソーム内、細胞内の microRNA (miRNA)、mRNA の変化を解析し、新たな細胞死亢進因子、致死過程特異的なコミュニケーション因子の同定・機能解析を行う。 ヒト不死化肝臓細胞を、無血清培地を用い、精製した野生型或いは、毒素活性中心のアミノ酸を置換し活性を持たないCholix (5ug/ml) を添加し、エキソソームの分泌変化を、エキソソームを精製し、ウエスタンブロット法により検出した。エキソソームの精製方法の樹立に手間取ったため、時間を要した。結果、Cholix によりエキソソームの分泌減少が認められた。更に、エキソソーム分泌に関与するRab蛋白質 Rab27a や Alix のノックダウン細胞を用いた時、Cholix による細胞死の亢進傾向が認められた。そこで、Cholix 処理による細胞内のmiRNA,mRNA の変化を明らかにするため、アジレント社のマイクロアレイ解析を行っている。世界的コロナ感染のため、受託解析結果を得るのに、遅れている。解析結果が得られ次第、Cholix による新規細胞死亢進因子を同定していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
①マイクロアレイを用いた mRNA の発現解析と統合解析 miRNAの発現比較解析の結果をより明確にするため、個々のmiRNAがどの転写産物分解に関わるか明らかにするため、mRNAのマイクロアレイ解析を行う。このmiRNAとmRNA の網羅的な解析データをバイオインフォマティクスによる標的遺伝子予測解析から本毒素で変化・制御されるエキソソームに由来するmiRNA の転写産物分解機構を予測する。 qRT-PCRによる抽出したmiRNA,mRNA の発現増加・減少の検証 ②マイクロアレイの統合解析結果から、細胞の生死、炎症応答などに関与すると推定されるmiRNA、mRNA を選択する。次いで、アレイの発現、減少パターンを確認するため、Mir-X miRNA RT-qPCR TB Green Kit (Takara) を用い、精製したmiRNA の3‘側に poly Aを付加し、cDNAを合成する。次に、個々のmiRNAのプライマーを用い、miRNA を定量する。同時に、mRNA もRT-qPCR を行い、Cholix の細胞致死亢進に関与する因子を選択し、発現変化を検証することで、マイクロアレイのデータの確証を得る。、
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Causes of Carryover |
世界的コロナ感染のため、外注した受託解析結果が遅れている。解析結果が得られ次第、Cholix による新規細胞死亢進因子を同定していく予定である。
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[Journal Article] Cholix toxin, an eEF2 ADP-ribosyltransferase, interacts with Prohibitins and induces apoptosis with mitochondrial dysfunction in human hepatocytes.2019
Author(s)
Yahiro, K., Ogura, K., Terasaki, Y., Satoh, M., Miyagi, S., Terasaki, M., Yamasaki, E., Moss, J.
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Journal Title
Cell. Microbiol.
Volume: 22
Pages: e13033
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Helicobacter pylori Vacuolating Cytotoxin A Causes Anorexia and Anxiety via 1 Hypothalamic Urocortin 1 in Mice.2019
Author(s)
Suzuki, H., Ataka, K., Asakawa, A., Cheng. K., Ushikai. M., Iwai, H., Arai, T., Yahiro, K., Yamamoto, K., Yokoyama, Y., Kojima, M., Yada, T., Hirayama, T., Nakamura, N., Inui, A.
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Journal Title
Sci. Rep.
Volume: 9
Pages: 6011
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] A CRISPR Screen Using Subtilase Cytotoxin Identifies SLC39A9 as a Glycan-regulating Factor.2019
Author(s)
Yamaji, T., Hanamatsu, H., Sekizuka, T., Kuroda, M., Iwasaki, N., Ohnishi, M., Furukawa, J., Yahiro, K., Hanada, K.
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Journal Title
iScience
Volume: 15
Pages: 407-420
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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