2019 Fiscal Year Research-status Report
Exosomeを介して伝播する腸管出血性大腸菌effectorの特定と機能解析
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19K07538
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
顔 宏哲 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (50612066)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | EPEC / EHEC / effector / exosome / inflammation |
Outline of Annual Research Achievements |
目的:腸管出血性大腸菌 (EHEC) と腸管病原性大腸菌 (EPEC) は3型分泌装置を介して接触した細胞に病原性タンパク質 (Effectors) を注入する。Effectors は30種類以上あり、一部のみ機能が報告されている。先行の effector 機能解析研究で、申請者は個々の effector を哺乳類細胞に強制発現し、解析を試みた。その過程で、一部の effector が細胞内のみならず、細胞外にも検出されていた。過去の論件より、病原菌に感染された細胞は細菌成分を内包する exosome 膜小胞を分泌する。さらに、それを取り込んだ細胞に炎症を惹起することも報告されている。そこで、検出された effectorsも exosome の経路を介して伝播する仮説を立てた。本研究は、その伝播の機構を解明し、EHEC/EPEC感染における意義を明らかにすることを目的としている。
意義: 従来 EPEC と EHEC は接触した細胞のみ感染することが知られている。本研究は exosome の経路を介して伝播する effector(s) を解明できれば、病原菌は非感染細胞の機能を "リモート" に制御する可能性を示す。これは EPEC と EHEC 感染症に置いて新たな見地となり、病原性大腸菌感染症の制御の標的になる可能性と期待できる。
研究実績: 初年度は個々の effector を発現する哺乳類細胞株の樹立と、培養上清中 (exosome 分画) に検出できる effector の確定を目標とした。 それぞれ NIH 3T3 マウス繊維芽細胞 NIH 3T3 と ヒト腸管上皮細胞 HT29 で実験を行った結果、確認した 14 種類の effector 中 1種類が両発現細胞株の培養上清中に検出することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
候補 effector が exosome に内包され、分泌されているかをeffector恒常発現細胞株で確認を行った。使用した細胞株はマウス繊維芽細胞NIH3T3とヒト腸管上皮細胞 HT29細胞株を用いた。 その結果、タンパク質発現が確認できた 14 種類中、1種類が両細胞株の培養上清中 ( exosome を含む分画) に検出することができた。 また、同定された effector は NIH3T3 細胞より恒常的に分泌するが、stead-state のHT29 細胞からはほとんど分泌されないことがわかった。 HT29 細胞に感染刺激を加えるとexosome 分画に effector を検出できった。次年度には、effector分泌に必要とするタンパク質領域と相互する宿主ファクターの解析を行う予定。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は計画の通り、(1) exosomeを 介して分泌した分子機構の解析、と (2) effector の機能解析を行う。
(1)に対して、具体的には、アミノ酸配列(領域)を部分的に欠失した変異体を作成し、どの領域を失うことで分泌できなくなるかを調べる。さらに、exosome 分泌機構の分子と相互作用することで分泌されると考えられるため、分泌できない変異体と比較し、全長のeffectorが特異的に結合するホストファクターを pulldown assay と マス解析で同定する。これによって、effectorの exosome を介した分泌機構を明らかにする。
(2)に対して、細胞の免疫応答、移動能や細胞生死に影響するかを分子生物学的な手法で調べる。
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Causes of Carryover |
物品購入時に違う会社で値段比べし、安価の方を購入した結果。 残金は来年度の部品購入に利用する。
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