2019 Fiscal Year Research-status Report
脂肪性肝炎に対するBacteroides菌種の有効性の検討
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19K07539
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
矢野 嘉彦 神戸大学, 医学研究科, 講師 (60419489)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星 奈美子 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (40645214)
林 祥剛 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (50189669)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 非アルコール性脂肪性肝炎 / 腸内細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は脂肪性肝炎の動物モデルの評価と確立を行った。C57/BL/6Jマウスを用いた。食事による評価としては、脂肪量の異なった高脂肪食のみによるモデルを用いたが、脂肪分60%カロリー比高脂肪飼料としたモデルでも20週齢まで確認したが脂肪肝にはなるものの脂肪性肝炎は軽微であった。次に脂肪分60%カロリー比高脂肪飼料に加えてメチオニン減量(0.1%)コリン欠乏食についても評価した。生後8週から介入を行い、炎症が惹起される17週と線維化が進行する32週で評価することとした。現在までに17週では脂肪性肝炎となることが、また32週では線維化が進展することが確認でき、この系を用いてBacteroides菌種の有効性を評価することとした。 現在まで数回の繰り返しを行った。17週で解析を行ったものについては体重、肝重量、精巣周囲の脂肪量の変化については比較的ばらつきが大きく、予備実験で得られたほどのBacteroidesの有効性が得られず、現在その有意性について再評価している。また腸内細菌叢の変化については、メタゲノム解析により、bacteroides群の増加を確認した。組織学的にはsteatosisとballooningには有意差はなかったが、inflammationがbacteroides群では低下、血液検査でもAST値がbacteroides群で低下(中央値 290U/ml vs 270U/ml, p=0.028)がみられたが、有意差はわずかであり、現在個体数を増やして検証中である。また肝組織からRNAを抽出し、Real time PCRを用いて組織中の炎症性サイトカインやアディポカインの定量的評価、また肝臓および脾臓組織のFACSを用いてCD4/8およびマクロファージ(F4/80)についても定量的評価を行っているが、今のところ有意な変化がみられていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高脂肪食およびコリン欠乏メチオニン減量食を用いたマウスモデルの確立は行うことができ、脂肪性肝炎モデルとしては問題なく行うことができ、線維化の評価も行うことができることが確認できた。組織学的な評価系やReal time PCRを用いた肝臓内のサイトカイン評価系、Flow cytometoryを用いた血球系の評価も問題なく行うことができ、今後の解析については引き続き行っていくことができると考えられた。 またバクテロイデス菌を投与した場合の糞便中のバクテロイデス菌群の増加、腸内細菌叢の変化についても確認することができ、今後バクテロイデス菌群の有効性を検証するうえで、投与された菌の体内動態が確認できたことはひとまず順調に推移していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は現在の17週例に加えて、32週齢のマウスも含め、Bacteroides菌の有効性を確認する。高脂肪食の負荷のみでは脂肪性肝炎の誘導が弱く、コリン欠乏メチオニン減量食では食事の影響が大きいため、今のところbacteroides菌の有効性を検証することが難しいことも予想されるため、その他のNASHモデルを用いること、脂肪食の内容を調整することも考慮している。 NASHモデルマウスとしては、リポポリサッカライド(LPS)を用いたモデルも検討しており、大腸菌由来のLPSおよびBacteroides菌由来のLPSを投与することによって脂肪性肝炎の発症に違いがあるかを検討することとしており、現在投与に向けて調整を行っている。 また投与する脂肪食については、高脂肪食に短鎖脂肪酸の比率を大きくした系を用いて、食事負荷による脂肪性肝炎の評価を加えていくこととしている。また短鎖脂肪酸の受容体(GPR43)ノックアウトマウスを導入し、脂肪性肝炎発症に短鎖脂肪酸がどのように関係しているかを検証することとしている。
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