2021 Fiscal Year Research-status Report
コレラ菌における染色体数のバリエーションに関する研究
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19K07551
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
山本 章治 国立感染症研究所, 細菌第一部, 主任研究官 (80469957)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | コレラ菌 / 単一染色体 / 複製 / 組換え / 表現型 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に確立した染色数の変動をモニターするためのレポーター系を用いて、V060002株の単一染色体が2本に分離したバリアントのスクリーニングを試みた。この系では、染色体2に特異的な複製開始因子RctBを増殖に必須としない単一染色体株(single chromosome:SC株)とRctBが必須である2本の染色体を有する株(two chromosome: TC株)の表現型の違いを検出する。著しく不安定なレプリコンを有しかつrctBをコードするプラスミドをrctB欠失株に導入した場合、このプラスミドはSC株では高頻度に脱落するのに対して、TC株では安定に維持される。プラスミドの保持性を指標としたスクリーニングを行い、SC株からTC株を多数分離することに成功した。また、得られたTC株を出発点としてSC株のスクリーニングを行い、SC株を再分離することができた。以上の結果から、コレラ菌の染色体数は可逆的に変動し得ることが示唆された。SC株とTC株の37℃での増殖能を比較したところ、TC株はSC株よりも増殖速度が高く、42℃ではこの違いがさらに顕著になった。また、コレラ菌の主要な病原因子であるコレラ毒素の産生性については両株で有意な違いを見出すことができなかった。なお、TC株からSC株をスクリーニングする過程において、予想外にも増殖にRctBを必要としないTC株のバリアントを発見した。この株はRctBに依存せずに染色体2を維持していると考えられ、新規な複製機構の存在が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
染色体数が変動したバリアントを分離できたものの、それらの表現型解析が不十分であったため。
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Strategy for Future Research Activity |
1)SC株とTC株の表現型を詳細に解析するとともに、遺伝子発現プロファイルを比較する。2)RctBを必要としないTC株バリアントの複製起点を同定するとともに、遺伝子発現プロファイルを解析する。
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Causes of Carryover |
年度末納品等にかかる支払いが、令和4年4月1日以降となったため。当該支出分については次年度の実支出額に計上予定であるが、令和3年度分についてはほぼ使用済みである。
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