2022 Fiscal Year Research-status Report
コレラ菌における染色体数のバリエーションに関する研究
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19K07551
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
山本 章治 国立感染症研究所, 細菌第一部, 主任研究官 (80469957)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | コレラ菌 / 単一染色体 / 複製 / 組換え / プラスミド様配列 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度はコレラ菌の単一染色体株V060002(Single Chromosome(SC)株)の染色体が2本に分離したバリアント(Two Chromosome(TC)株)をスクリーニングするとともに、両者の増殖能を比較した。本年度はSC株とTC株における遺伝子発現の違いを明らかにするためにRNA-seqを行った。その結果、SC株ではTC株に比べてリボース取り込み系の遺伝子群とCTXファージの複製に関わる遺伝子群の発現がそれぞれ約16倍と約4倍に上昇していた。また、染色数の変動を解析するためのレポーター系を用いてTCからSCへの変換に関わる因子について探索したところ、V060002のゲノムに特異的にコードされる約28 kbpの遺伝子クラスターが重要な役割を担うことが示唆された。この遺伝子クラスターはSalmonella Genomic Island-1(SGI-1)と相同性が高いため、Vibrio Genomic Island-1(VGI-1)と命名した。SGI-1は染色体からの切り出しと複製に関わる遺伝子や接合伝達開始点oriTをコードしているなどプラスミド様の特徴をもつが、その自律的複製と接合伝達を活性化するためにはヘルパープラスミドを導入する必要がある。そこでVGI-1とヘルパープラスミドpVCR94を共存させたところ、両者が単独で存在する場合に比べてTCからSCに変換される効率が100倍以上に上昇した。この結果から、pVCR94の存在下で活性化されるVGI-1由来の因子が単一染色体化を誘導しているものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
RNA-seqの結果に基づいた表現型の解析を行うことができなかった。また、TCからSCへの変換に関わる因子を同定することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
1)RNA-seqの結果に基づき、リボースの利用能とCTXファージ粒子(DNA)の産生能を比較する。2)VGI-1の遺伝学的な解析を行い、TCからSCへの変換に関わる因子を同定する。
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Causes of Carryover |
年度末納品等にかかる支払いが、令和5年4月1日以降となったため。当該支出分については次年度の実支出額に計上予定であるが、令和4年度分についてはほぼ使用済みである。
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