2023 Fiscal Year Annual Research Report
コレラ菌における染色体数のバリエーションに関する研究
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19K07551
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
山本 章治 国立感染症研究所, 細菌第一部, 主任研究官 (80469957)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | コレラ菌 / 単一染色体 / プラスミド様エレメント |
Outline of Annual Research Achievements |
コレラ菌の染色体数は2本と考えられてきたが、近年2本の染色体が融合して単一化した菌株が同定されつつある。 昨年度までの研究から、単一染色体株V060002のゲノムに特異的な遺伝子クラスターであるVibrio Genomic Island 1(VGI1)が染色体の単一化を誘導している可能性が示唆された。VGI1は約28 kbpからなるプラスミド様のエレメントであるが、単独では自己複製能をもたない。VGI1の染色体からの切り出しと複製が活性化するためには、IncA/Cタイプのプラスミド(pVCR94)と共存させる必要がある。pVCR94によるVGI1の自己複製能の活性化が単一染色体化に重要な役割を果たしているものと考えられる。本年度はこのプロセスに関わる遺伝子を同定するために、VGI1にコードされた様々な遺伝子の欠失体を作成し、染色体の単一化に及ぼす影響について昨年度までに確立したレポーター系を用いて解析したところ、染色体からの切り出しに必須なintもしくは複製開始に寄与するrepを欠失した株において単一染色体化する頻度が検出限界以下になった。また、marker frequency analysisを用いて染色体の複製レベルを解析したところ、pVCR94によるVGI1の活性化は染色体1と染色体2の両方の複製に対して影響を与えなかった。以上の結果より、V060002の染色体は以前は2本であったが、VGI1とその自己複製能を活性化するプラスミドの両方を獲得することによって単一化した可能性が考えられた。なお、VGI1が単一染色体化を誘発するメカニズムや生理的意義については今後の課題である。
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Research Products
(1 results)