2019 Fiscal Year Research-status Report
ブルーリ潰瘍(M.ulcerans感染症)における無痛性病態メカニズムの解明
Project/Area Number |
19K07557
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
後藤 正道 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (80325779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 幸一 帝京大学, 医療技術学部, 教授 (20206478)
圓 純一郎 国際医療福祉大学, 成田保健医療学部, 講師 (30587879)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Mycolactone / 細胞障害 / 無痛性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ブルーリ潰瘍におけるM. ulcerans subsp. shinshuense、M. ulcerans及びmycolactone A/B 、mycolactone S1、mycolactone S2による細胞障害とその成立機序の検索及び受容体・シグナル伝達経路の同定により、ブルーリ潰瘍における無痛性及び有痛性病変成立のメカニズムを明らかにするものである。 2019年度はMycolactoneの細胞への侵入経路もしくは、受容体・シグナル伝達経路の同定を行うために、M. ulcerans subsp. shinshuense及びM. ulceransそれぞれから由来するmycolactone A/B 、mycolactone S1、mycolactone S2による細胞障害とその成立機序の検索を行うことを目的とした。そのため、ハーバード大学岸義人教授へ化学合成したmycolactone A/B 、mycolactone S1、mycolactone S2の提供依頼を行い、実験準備を整えた。 また、2019年9月10日から、フィリピンのマニラで開催された第20回国際ハンセン病学会(ILC)に出席して、世界中の抗酸菌感染症研究者と意見交換を行い、ブルーリ潰瘍の無痛性に関する最新の知見について理解を深めた。2020年2月には長年、ガーナ共和国のブルーリ潰瘍対策に携わってきた神戸国際大学学長の下村雄紀教授と、本研究の「無痛性病態メカニズムの解明」の社会的意義について、議論を行った。 実験を行う体制を整えたところで、世界中でコロナウイルス感染症が蔓延し、大学においても研究施設の使用に制限がかかったため、現在実験は中断しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2019年度はMycolactoneの細胞への侵入経路もしくは、受容体・シグナル伝達経路の同定を行うために、M. ulcerans subsp. shinshuense及びM. ulceransそれぞれから由来するmycolactone A/B 、mycolactone S1、mycolactone S2による細胞障害とその成立機序の検索を行うことを目的とした。そのため、ハーバード大学岸義人教授へ化学合成したmycolactone A/B 、mycolactone S1、mycolactone S2の提供依頼を行い、実験準備を整えた。 ただ、実験を行う体制を整えたところで、世界中でコロナウイルス感染症が蔓延し、大学においても研究施設の使用に制限がかかったため、現在実験は中断しているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、遅れているM. ulcerans subsp. shinshuense及びM. ulceransそれぞれから由来するmycolactone A/B 、mycolactone S1、mycolactone S2による細胞障害とその成立機序の検索もしくは、受容体・シグナル伝達経路を同定するために、Mycolactone により引き起こされる細胞動態の詳細な解析を行う。まず、蛍光標識したmycolactone を用いて、反応する細胞の主体を明らかにする。また、次世代シークエンサーによるRNA-seq解析を行い、末梢神経障害に寄与する遺伝子発現変化を明らかにする。 さらに、M. ulcerans及び他の抗酸菌による感染とmycolactone投与との比較を行う。培養シュワン細胞・線維芽細胞・マクロファージにM. ulcerans subsp. shinshuense、M. ulcerans及び他の抗酸菌(M. marinum、M. avium等)を感染させ、細胞内への菌の取り込み、細胞形態の変化、細胞膜破損の有無、アポトーシスの有無などを検討する。これらの結果と、mycolactoneによる培養細胞の変化との比較を行うにより、シュワン細胞と他の細胞の細胞障害パターンの違いを明らかにする。
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Causes of Carryover |
2019年度は実験の遅れにより、細胞購入費用等の物品費が少なく計上されている。 また、コロナウイルス感染症の影響により、国内・海外渡航に制限が出ており、旅費も予定より少ない使用となっている。 2020年度は、2019年度で遅れている実験を進めるため、実験用細胞の購入や実験に使用する培地、ディスポーザブル器具等を購入するのに使用する。 さらに、WHOでのブルーリ潰瘍年次総会が開催されるため、会議に参加し、実験結果について発表を行う予定となっている。
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