2019 Fiscal Year Research-status Report
生体内での緑膿菌の活動に必須な遺伝子群のIVET解析とその応用によるワクチン開発
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19K07567
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
木田 豊 久留米大学, 医学部, 准教授 (30309752)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 緑膿菌 / 病原性 / プロモータートラップ |
Outline of Annual Research Achievements |
細菌の病原性を全体的に理解するためには、生体内における細菌が発現する遺伝子群の解析を必要とする。そのような解析にはマイクロアレイやRNA-seqが広く使用されているが、これらの方法は発現変化を示した遺伝子群が実際に機能しているかを捉えることができないことや多額の費用を要すること等の問題点を有する。そこで、本研究では緑膿菌が生体内で生存・増殖するために必要とする遺伝子群を解析するために、高価な機器を必要とせず、比較的容易に実施可能なin vivo expression technology (IVET) 法による実験系の確立を目的としている。今年度は本研究を開始するにあたって作製したプロモータートラップライブラリー緑膿菌株が、生体内で特異的に発現する遺伝子群のIVET解析に使用可能であるのかを、ムチンを唯一の栄養源とする人工的な培養環境を用いて評価した。この評価系を用いた理由は糖タンパク質であるムチンが上皮細胞の管腔側を覆う粘液層の主要な成分であり、緑膿菌が生体内で生存・増殖するにはムチンの分解を必要とするためである。このIVET解析によって13種のプロモーターが同定され、それらの下流の遺伝子には緑膿菌がムチンを分解するために必要と考えられるスルファターゼやグリコシダーゼの遺伝子が含まれていた。従って、今年度の研究において作製したプロモータートラップライブラリー緑膿菌株は、生体 (マウスなど) 内における緑膿菌の活動に必須な遺伝子群のIVET解析に十分に適用可能であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度の研究計画を当初の予定通りに遂行し、予想される結果が得られたことから、本研究はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度の研究計画がおおむね順調に進展していたことから、令和2年度の研究では既に作製したプロモータートラップライブラリー緑膿菌株をマウスに感染させて、マウス内における緑膿菌の活動に必須な遺伝子群のIVET解析を試みる予定である。
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Causes of Carryover |
(次年度使用額が生じた理由) 当初導入の予定であった低圧クロマトグラフィーシステムの購入を値上げのために中止したことと、実験に必要な消耗品類の購入を抑えることができたため、次年度使用額が生じた。 (使用計画) 令和2年度の研究費は、マウス内における緑膿菌の活動に必須な遺伝子群のIVET解析を行うために必要な動物実験用材料などの消耗品の購入に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)