2019 Fiscal Year Research-status Report
ムンプスウイルスのRNA合成およびその時空間的制御機構の解明
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19K07584
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
加藤 大志 国立感染症研究所, ウイルス第三部, 主任研究官 (80711712)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ムンプスウイルス / RNA合成 / 宿主因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
パラミクソウイルス科ウイルスにはムンプスウイルスや麻疹ウイルス、ニパウイルスなどヒトや動物の重要な病原体が数多く含まれる。しかしながら、これまでにパラミクソウイルス感染症に対する特異的な治療法は開発されていない。本申請課題では、代表的なパラミクソウイルスであるムンプスウイルス(MuV)を用いて、ウイルスのRNA合成機構を分子レベルで明らかにし、パラミクソウイルス感染症に対する新規の治療標的を見つけることを最終目的とした。 MuVのRNA合成に関わる宿主因子を網羅的に探索するため、ウイルスのポリメラーゼタンパク質であるLタンパク質にビオチンリガーゼ配列を挿入した(L/TurboID)。まずミニゲノム系によって、L/TurboIDタンパク質のRNA複製能を評価した。その結果、野生型のLタンパク質に比べて低下はしたものの、L/TurboIDタンパク質のRNA複製能は保持されていた。さらにLタンパク質に插入されたTurboIDのビオチンリガーゼ活性についても確認できた。今後はL/TurboIDタンパク質を発現する組換えMuVを作製し、MuVのRNA合成に関わるウイルス-宿主相互作用ネットワークを明らかにする。 また、本年度はRNA複製に加え、MuVの粒子形成に関わるウイルスおよび宿主タンパク質を探索し、ウイルスアクセサリータンパク質であるVタンパク質および宿主のESCRT関連タンパク質がウイルス粒子形成に重要な役割を果たしていることを明らかにした。現在、Vタンパク質を欠損した組換えMuVやCRISPR-Cas9によるノックアウト細胞を用いて、詳細な分子メカニズムを解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度はムンプスウイルスのRNA複製に関わる宿主因子の同定までを目標にしていたが、ビオチンリガーゼ配列を挿入したLタンパク質を有する組換えムンプスウイルスを得るのに時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き組換えムンプスウイルスの作出を試みると共に、場合によってはすでに確立しているミニゲノム系を用いて、Lタンパク質と相互作用する宿主因子を同定し、解析を進めることも検討する。また、RNA複製機構と合わせて、ウイルス粒子形成機構についても解析することで、ムンプスウイルスの増殖機構を分子レベルで明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
計画通りに進まなかった研究があったため、一部予定していた研究が実施できなかった。その分の研究費については、次年度に繰り越して使用する。また年度末納品等にかかる支払いが令和2年4月1日以降となったため、一部支出分については次年度の実支出額に計上予定である。 繰越分のための遅れている研究計画については早急に実施する予定である。
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